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(1996年6月1日)          




バイバイL・A?

1981年に製作された“ニューヨーク1997”の続編“エスケープ・フロムL・A”は、オリジナル同様、ジョン・カーペンター監督("遊星からの物体X")、カート・ラッセル主演で、15年間待望していたファンの期待通りの仕上がりという評判です。警察署長の役を演じるステーシー・キーチによると、前作で売り物だったダークなイメージやオカルト的な世界に加えて、現代的な軽い場面も多く取り入れられましたが、70日を越える夜間撮影に、スタッフは全員がバンパイアになりそうだとジョークを飛ばしていたそうです。地震の結果、マリブ、サンタモニカ、ベニスが離れ小島となり、サンフェルナンド・バレー(いわゆるノース・ハリウッド)は海の底というストーリー設定で、CG(コンピューター・グラフィック)を駆使した特撮は素晴らしいとの評判です。実際L・Aに住む我々にとっては、とても興味のある映画ですね。





ダンテの頂上

007役が好評だったピアース・ブロズナン、次回作“ダンテズ・ピーク”では火山の大爆発を予言する学者を演じます。このユニバーサル娯楽大作でピアースの相手役を演じる女性は、脚本によると美貌のアウトドア愛好者ということで、妻を亡くした男ヤモメ役の彼とのロマンチックな関係が、火山に負けじと爆発しそうな展開です。今夏、いよいよハリウッドのユニバーサル・スタジオで、"ジュラシック・パーク”のアトラクションをオープンするMCAとしては、何とかこの企画を成功させてそちらの事業へもつなげたい意向らしく、共演の女優が決定次第、6月末にアイダホ州でクランクインの予定。ちなみに、ブロズナンは癌で他界した最愛の妻への記念として、PCH(パシフィック・コースト・ハイウェイ)のマリブ通過地点に、海を一望できる大型望遠鏡を設置した展望エリアを築きました。





スタジオ大戦争

大手スタジオの勢力地図を、去年の実績と今年後半の展望を基に順位をつけてみました。


1位(昨年度2位): ディズニー・タッチストーン・ハリウッド・ミラマックス軍団

去年はアニメ("ポカホンタス")や、お抱えプロデューサー、ドン・シンプソン(最近死去)とブラックハイマーのコンビ ("トップガン"、“デイズ・オブ・サンダー")が放った“クリムソン・タイド"、"デンジャラス・マインド/卒業の日まで”がヒット。今年はミュージカル・アニメ“ノートルダムのせむし男”が期待できます。

2位(昨年度1位): ワーナーブラザース

業界最多忙のスタジオ。去年は“バットマン・フォーエバー"、"マジソン群の橋”の大ヒットを飛ばした一方で、"カブ"、“告発”等が不作でした。今年は“スピード”のヤン・デ・ボン監督作品“ツイスター"、シュワルツネッガーのアクション大作“イレイザー”等の夏休み映画が目白押しです。

3位(昨年度4位): ユニバーサル

新オーナーのシーグラム社が“アポロ13"、"キャスパー”で200万ドル以上稼いだ反面、旧オーナーの松下は失敗作“ウォーター・ワールド”のつけを回され大変。元CAAのボス、ロン・マイヤー人脈のロン・ハワード監督("アポロ13")率いるイマジンやスピルバーグ監督のアンブリン、ドリームワークスとの提携作品製作に期待がかかっています。

4位(昨年度3位): パラマウント

32億ドルを稼ぎ出した“フォレスト・ガンプ”に気をよくして多大な宣伝費をかけた“コンゴ”や“クルーレス”が思惑通りの大ヒットとはならず、マイケル・ダグラスとの12作品契約、および制作費6、500万ドルをかけたトム・クルーズとブライアン・デ・パルマのコンビによる“ミッション・インポッシブル”で勝負。

5位(昨年度7位): ソニー・コロンビア・トライスター軍団

ジム・キャリーに2、000万ドルを払い、スターのギャラ相場を一気に引き上げてしまったという曰(いわ)くつきの“ケーブル・ガイ”にすべてを託しています。

6位(昨年度5位): 20世紀フォックス

去年は“ダイハード3"、"9ケ月”のヒットを飛ばしながらも、いまいち力不足。今年はキアヌ・リーブス主演の大型アクション“デッド・ドロップ”と大物プロデューサー、アーノルド・コーペルソン("逃亡者"、"セブン")との契約成立で再起を計っています。

7位(昨年度6位): ニューライン・シネマ

去年は低予算映画の分野で“friday”等のヒットを飛ばし、大型企画の“セブン”も大ヒットと好調です。今年はジュリア・ロバーツ、メグ・ライアン主演の“ウーメン”や、ブルース・ウィリス主演のアクション作品“ウェルカム・トゥー・ジェリコ”で勝負に出ますが、高額予算作品制作に伴う危険性が懸念されます。




アメリカ版“用心棒”

世界一の共稼ぎカップル、ブルース・ウィリスとデミ・ムーアとて人知れぬストレスが多いようです。と言うのも、ムーアは先週、撮影中のアクション映画“G・Iジェーン”と、あまり前評判が良くない公開間近のサスペンス・コメディー“ストリップティーズ”のシーン撮り直し現場とを飛行機で往復するハードスケジュールをこなす一方、ウィルスも8月公開予定だった主演作、ウォルター・ヒル("48時間")脚本監督の“ラストマン・スタンディング”が、9月13日公開に延びるというハプニング。このニューライン・シネマ製作作品は“七人の侍”のパターンと同じく、黒沢明監督の名作“用心棒"(1961年度作)のアメリカ版リメイクで、禁酒法時代のテキサスが背景となっています。スタジオ宣伝部は公開日変更の理由を、「噂されている映画の不出来映えとは関係なく、昨年大ヒットした(同スタジオ作品である)"セブン”の公開とほぼ同じ時期に縁起をかついで変更した」と、何か苦し紛れのようなコメントを発表しています。夫婦揃って空振りに終わらなければいいのですが・・・・・・?





チャーミング・オダネル


ジョン・グリシャム原作の法廷スリラー“チェンバー/凍った絆”の撮影はいま大詰めですが、セットからの情報によると、主演のクリス・オダネル("バットマン・フォーエバー")は今までのロビン役や純情な大学生役("セント・オブ・ウーマン")とは打って変わり、複雑な役柄を力強い演技力と豊かな表現力を発揮し、スタッフの度肝を抜いているようです。白人超越主義者の祖父(ジーン・ハックマン)を死刑の宣告から救おうとする若き弁護士役の彼は、人種差別が原因の殺人事件とその裁判がテーマの作品なだけ、ともすれば暗くなりがちなセットでも、撮影中の緊迫した表情と裏腹の軽快なノリや素早いアドリブで共演者を笑わせているとか! 黒人女性とのあるシーンでは、真剣な会話場面の途中、「えっ、あなた黒人?」とアドリブと飛ばし、そのタイミングと真実味満点の演技に感激した監督のジェームス・フォリーが、実際その場面を映画に挿入しようとしているらしいです。“法律事務所"(トム・クルーズ主演)、“ペリカン白書"(ジュリア・ロバーツ主演)、“クライアント"(スーザン・サランドン主演)と、映画化したものがすべて大ヒットしている元弁護士のベストセラー作家ジョン・グリシャム小説・・・・・・さて、このクリス主演の“処刑室”と、今夏の目玉でサンドラ・ブロック("スピード")主演の“評決のとき”が連続ヒットを維持できるか見ものです。




(1996年6月1日)

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