モンスター・ヒット
5月末に公開された“ミッション・インポッシブル”は6月1日の「お先に失礼!」でも触れましたが、アメリカ国内のみならず世界中で今夏最高の話題作となりつつあります。主演だけでなくプロデューサーも手掛けたトム・クルーズがいつになく、アメリカ国内公開前から精力的にPRツアーをこなしたり、次々と公開される世界市場での宣伝キャンペーンへ積極的に飛び回っているのも大きな原因でしょう。トムは今回、最終的な脚本を完璧に仕上げるためアカデミー賞脚本家のロバート・タウン("チャイナタウン")とスティーブン・ザイリアン("シンドラーズ・リスト")、そして“ジュラシック・パーク”のデビッド・コエップをも起用し、ブライアン・デ・パルマ監督("スカーフェイス"、"アンタッチャブル")と激しい口論を重ねながら、あのもの凄いエンディング・シーンを取り直したりと、そうとうな入れ込みようです。その上、予算を切り詰めるため普通の俳優並みのギャラで参加し、現在撮影中のコメディー“エージェント”の合間をぬって、6月〜7月はこの映画の宣伝で世界中を駆け回る張り切りよう。アクション映画を作るという彼が俳優を目指した時からの夢を、ようやく実現させた作品だけに力が入るのかも知れませんね。そんな彼と“アンタッチャブル”以来、しばらくはサンフランシスコの自宅で籠りっきりだったデ・パルマが久しぶりでやる気になったこの作品、パワーが違います。そんなクルーズ、スパイとはガラッと変わってスポーツ・エージェント役を熱演する新作“エージェント”を7月に終了後、スタンリー・キューブリック("2001年宇宙の旅"、"フルメタル・ジャケット")監督によるセクシー・スリラー“アイズ・ワイド・シャット”で愛妻ニコル・キッドマンと共演するため、ロケ地のロンドン入りの予定です。
アカデミー賞、その後
ハリウッドでは、アカデミー賞を受賞すると一気にキャリア運勢が変わるといわれますが、さて今年の受賞者たちの今後はどうなるのでしょうか?
メル・ギブソン(作品賞、監督賞):
次作・・・・・・7月公開のロン・ハワード("アポロ13")監督のスリラー“身代金"。現在、次の企画で監督をすべきか主演をすべきか試行錯誤中。どちらにしても素晴らしい才能なだけ、難しい選択ですね。最近、世界で最も男性的なスターに選ばれました。
スーザン・サランドン(主演女優賞):
次作・・・・・・ジュリア・ロバーツ、メグ・ライアンと共演の“ウーマン"(1997年公開予定)。現在公開中のアニメ作品“ジェームス・アンド・ザ・ジャイアント・ピーチ”では、スパイダーの声優も担当しています。愛人のティム・ロビンスと共演企画開発中とのこと。
ニコラス・ケイジ(主演男優賞):
次作・・・・・・6月公開の“ロック”でショーン・コネリーと共演。大手スタジオのAリストに乗り、ジョン・トラボルタと共演の“フェイス・オフ”では600万ドルのギャラを獲得しました。
ミラ・ソルビノ(助演女優賞):
ケーブルTV大手HBO製作の話題作“ノーマ・ジーン・アンド・マリリン”でマリリン・モンロー役を熱演。現在、若手女優ナンバー・ワンの呼び声が高い彼女です。
ケビン・スペイシー(助演男優賞):
次作・・・・・・8月公開のジョン・グリシャム原作の映画化作品“評決のとき"。現在、50年代を背景にした犯罪ドラマ“L・Aコンフィデンシャル”にダニー・デ・ビート、キム・ベーシンガーと共演中。また、今秋にはミラマックスから初監督作品“アルビーノ・アリゲーター”が公開されます。
エマ・トンプソン(脚本賞):
次作・・・・・・模索中。ベストセラー小説“ホース・ウィスパラー”の映画化作品にロバート・レッドフォードと共演の噂。オスカー受賞以前から出演依頼は多く、これといった賞のメリットはないようです。
メル・ギブソン |
スーザン・サランドン |
ミラ・ソルビノ |
ケビン・スペイシー |
ロックン・ハンクス
初めての監督作品“すべてをあなたに”を撮り終えたトム・ハンクスは、奥さんの女優リタ・ウィルソン、5歳の息子チェスター、そしてまだ赤ちゃんのトルーマンと一緒に、カリブ海での休暇を楽しんでいます。'60年代のロックンロール・バンドをテーマに彼自身が書いた脚本ベースのこの映画、製作の20世紀フォックス側は早くもヒットを目算し、感謝祭休日の公開を予定しているとか。バケーションが終わり次第、トムはこの映画の編集に入り、リタはクリスマス・テーマの新作“ジングル・オール・ザ・ウェイ”でシュワルツネッガーのワイフ役を演じるため、ロケ地ミネソタ州へと向かいます。
トラボルタのバケーション
“パルプ・フィクション”以来、ノンストップで6本の映画を撮り続けてきたジョン・トラボルタは、天使役を演じた最新作のコメディー“マイケル”を撮り終え、メイン州にある豪邸で女優の愛妻ケリー・プレストンと4才の息子ジェットと一家水入らずの休暇に入りました。長年彼のマネージャーをしているジョナサン・クレインによると、来年の企画依頼が現在7本あり、その中から2企画を厳選するそうです。トラボルタが過労気味という噂については、「ジョンはバイタリティー旺盛で、この忙しいペースが気に入っている。映画ファンの誰もがジョンに注目していることを彼はよく知っているのさ」と、語っています。トラボルタは、このバケーションが終わり次第、ギャラ20億円の“ダブル”を9月までパリで撮影し、その直後、ニコラス・ケイジ(今年“リービング・ラスベガス”でアカデミー賞受賞)との共演作“フェイス・オフ”へと移行します。また、このところ妻ケリーの株も上昇中。今回の家族休暇は、現在トム・クルーズと共演中の“エージェント”から休みを取り、なんとか実現したものです。
怖いキャスティング・コール
6月3日に撮影を開始した今年のアカデミー賞男優ニコラス・ケイジの新作スリラー“コン・エアー”は、ニコラス演じる保釈間近の囚人が、警戒厳重な刑務所へ空路移動中、他の囚人たちにハイジャックされた飛行機を救出するという大型アクション。現在、製作スタジオのタッチストーンとプロデューサーのシンプソン&ブラックハイマー("トップガン"、"ザ・ロック")からハリウッドの俳優事務所へ配布されているキャスティング情報によれば、ハイジャッカーたちの顔ぶれは、繊細な外見の連続殺人犯、爆弾テロ事件で13人の犠牲者を出したゲリラ・グループ首領、喘息持ちの黒人版ラッツォ・リゾー(映画“真夜中のカウボーイ”でダスティン・ホフマンが演じた結核持ちの変人)、ラテン系ドラッグ・ディーラーのボス、南部出身の化け物じみた大男、そして性転換手術途中の殺人犯で通称“踊れないサリー”と、じつに多彩です。これらのプロフィールに当てはまる人は、応募してみるのも一考では?
(1996年6月16日)
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