圧縮のすべて


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圧縮ソフト2種
 前回ご紹介した「Winny」は、半年前の使用者2人の逮捕に続き、先月(5月)その開発者である東大助教授までが著作権法違反(公衆送信権の侵害)の幇助(ほうじょ)容疑で逮捕されるという事態へ発展しています。そもそも、このWinny開発のきっかけは3年前(2001年)、もう1つのP2P(ファイル交換)ソフト「WinMX」を使った著作権法違反事件を前述の2件と同じく京都府警が摘発した事件でした。しかし、国際的にも著作権侵害をめぐるプログラム開発者の責任についての司法判断は分かれており、今後、議論を呼びそうです。

 極論をいえば、飲酒運転が原因の人身事故は自動車製造会社酒造会社へも傷害や殺人の幇助(ほうじょ)容疑が及ぶという考え方もあります。もっと端的な例は武器で、日本のような銃刀法によって禁止されている国があれば、禁止することは基本的人権に触れると捉(とら)えるアメリカのような国もあるわけです。このパターンが成り立つのは国境が存在するからであり、国境のないインターネット上で使うP2Pソフトへは通用しません。そこが司法判断の論点となるのは、おわかりでしょう。

 P2Pソフトがいいか悪いかは、このコラムのテーマから外れるのでさておき、それを使う上で欠かせないのが圧縮ソフトです。WinnyなどのP2Pソフトで入手したファイルの多くは圧縮されており、せっかく手に入れたものの解凍できなくて使えないという経験があるかたもおられると思います。たとえば拡張子「.rar」の圧縮ファイルを解凍したら中身は拡張子が「.img」の圧縮ファイルで、それをまた解凍しなくてはならない場合も少なくありません。

 数年前なら「WinZip」さえあれば事足りたのが、その後コンピュータやインターネットの発達とともに圧縮技術も多様化し、最新バージョンのWinZip9.0では「.zip」形式以外10数種類の圧縮ファイルを扱えます。ところが、これだけでは現在インターネット上で出回っているすべてのファイルをカバーすることができないのです。そこで登場するのは先述の「.rar」形式ファイルを開発したユージン・ロシャルの「WinRAR」という圧縮ソフトで、WinZipより新しいだけ性能も良くなっており、もちろん「.zip」形式のファイルも扱えます。

 では、WinRARがあれば事足りるかといえば、まだ十分ではありません。アプリケーション・ソフトなどのダウンロード・ファイルの多くが、もとのCD-ROMへ焼かれた状態(CD-RMイメージ)そのままで圧縮されており、先の「.img」はこの典型だといえます。こうしたCD-ROMイメージ・ファイルの解凍がWinRARでは完全におぼつかず、それをカバーできるのがCD-ROMイメージ・ファイル・ユーティリティ「WinISO」です。
WinZip 9.0WinRAR 3.30WinISO 5.3
.ARC
.ARJ
.B64
.BHX
.CAB
.GZ
.HQX
.LZH
.MIM
.TAR
.TAZ
.TZ
.UU
.UUE
.XXE
.Z
.Zip
.ACE
.ARJ
.BZ2
.CAB
.GZip
.ISO
.JAR
.LZH
.MIM
.RAR
.TAR
.UUE
.Zip
.BIN
.C2D
.CIF
.DAO
.IMG
.ISO
.NRG
.VCD
.TAO
代表的圧縮ソフトで扱えるファイル形式の比較

 ちなみに、右の表は上記の圧縮ソフトで扱えるファイル形式を比較したものですが、この表をご覧いただくとWinZipとWinRARで扱うファイルの多くは重複していることがおわかりいただけるでしょう。数の上ではWinZipのほうが多くても、よく使う形式は限られいる上、「.rar」形式が扱えないいっぽうで、WinRARのほうはCD-ROMイメージ以外の主な形式をほぼ網羅しています。

 加えてCD-ROMイメージ・ファイルも「.iso」形式が扱えるWinRARは、実質的にWinZipの機能をカバーするため、これとWinISOでふだん使う圧縮のすべてがコントロールできると言ってもいいぐらいです。WinZipを含めたこれらの圧縮ソフトはどれもシェアウェアですから、無償でダウンロードが出来ても料金を支払うまでは機能を制約される反面、じっさい使ってみて支払うだけの価値があるかどうかを判断できるメリットがあります。

 このページでは、とりあえずWinRARとWinISAをそれらのダウンロード・ファイルともどもご紹介しますが、試した後も継続して使われる場合は、ぜひ各ソフトのオーナーへ正規の料金をお支払い下さい。インターネットで捜せば非合法なクラック(Crack)やキージェネレーター(KeyGen)が出回っているのは確かですが、そこまでしても割は合いません。

 1ライセンスだとWinRARの料金が3,480円(英語サイトなら29ドル)、WinISOが30ドルという安さの上、前者の場合はバージョンが新しくなれば登録したサイトから無償で入手可能です。何より、わずか30ドル前後の料金で正規に使う気分良さは、後ろめたさを感じながらこそこそ使うことを思えば十分お釣りがきます。ということで、以下、順を追ってダウンロードの説明です。

 最初はWinRARで、2004年5月末日現在の一番新しいバージョンが3.30、その日本語版をご紹介します。まず、次の「DOWNLOAD」ボタンをクリックしてインストール・ファイルをダウンロードして下さい。今後、更新された場合はWinRARの日本語サイト(http://www.diana.dti.ne.jp/~winrar/)か英語サイト(http://www.rarlab.com/)で簡単に最新バージョンが見つかるはずです(後日ライセンスを購入する際も同じアドレス)。なお、現時点で日本語サイトからのダウンロードは日本語版か英語版しか選択できませんが、英語サイトからは英語版や日本語版を含む42ケ国語版がダウンロードできます。

WinRAR Version 3.30J WinRARのダウンロードはここをクリックして下さい ファイルのサイズは1.04MB(1,091,784バイト)です。

 ダウンロードの次はインストールです。自己解凍ファイルなので、クリックするだけでインストールが始まります。途中、設定の変更もできますが、わからない時は初期設定の指示どおりインストールを終えれば間違いありません。インストールが完了した後の使用方法や機能に関しては、WinRARのツールバーで「ヘルプ(H)」→「トピックの検索(H)」をご参照ください。

 試してみて内容が納得できたとしたら、ライセンスを購入しない限り、シェアーウェアの有効期限はインストール後40日間です。前記の日本語サイトからだと円建、英語サイトからだとドル建の違いがあるとはいえ、どっちが得か追求するほどの開きはありません。しかし、購入後バージョンが新しくなって更新する際は、いちおう購入したほうのサイトへ申し込んだほうが確実でしょう。

 シリアル番号は正しくとも、それがインターネットから入手したキージェネレーター(KeyGen)で作った番号かもしれず、もはや正規のユーザーであるかどうかの決め手とはならないのです。したがって、申し込みがあった相手はデーターベースで購入時の記録を確認(チェック)する必要があります。アメリカと日本のデータベースは別れている以上、たとえ両者がリンクされていようと、互いで照会する手間はかかるわけです。たとえば、アメリカでライセンスを購入した後、日本へ新しいバージョンを申し込み、日本がアメリカのデータベースにある記録を照会しそこなったりすると、結局は申し込んだほうが馬鹿を見ますから。

 もう1つのWinISOは、現在一番新しいバージョンが5.3です。こちらはWinRARと違って英語版ですが、それを日本語化するためのファイルもご用意しておきました。したがって、英語版のまま使用されるかたは、次の「DOWNLOAD」ボタンから本体のみを、日本語化されるかたは本体と日本語化パッチの両ファイルをダウンロードして下さい。今後、本体のほうが更新された場合はWinISOのホームページ(http://www.winiso.com/)から簡単に最新バージョンが見つかるはずです(後日ライセンスを購入する際も同じアドレス)。

WinISO Version 5.3 WinISOのダウンロードはここをクリックして下さい ファイルのサイズは1.18MB(1,239,066バイト)です。
日本語化パッチ WinISO日本語化のダウンロードはここをクリックして下さい ファイルのサイズは3.90KB(3,996バイト)です。

 本体はやはり自己解凍ファイルなので、クリックすれば自動的にインストールが始まり、しいて設定を変更したい場合以外は、初期設定のままインストールされて問題ありません。インストールが終わった英語版を日本語化するのは、いたって簡単です。ダウンロードした日本語化パッチ・ファイル「winiso53.zip」を解凍すると、中身は「language.ini」という設定ファイル1つなので、WinISOの本体をインストールしたフォルダ(初期設定のままなら「C:\Program Files\WinISO」)へそれをコピーします。たった、これだけのことです。

 「language.ini」がコピーできたら、とりあえずWinISOを起動してみて下さい。ツールバーなどはすべて日本語表示になっているのがおわかりいただけるでしょう。ただ、日本語化といっても範囲は限られており、プログラムへ付随した「ヘルプ」などが英語のままなのはご了承ください。また、シェアーウェアとして有効期限がない代わり、ライセンスを購入するまでは3MBを超えるファイルを抽出(解凍)できず100MB以上のイメージも変換したり保存できないという制限があります。

 以上、2つの圧縮ソフトさえインストールしておけば、WinnyやWinMXを使うかたはもちろん、それらのP2Pソフトと縁がないかたでもインターネットを利用する上で必ず役立つはずです。たとえば、写真をEメールに添付して友達へ送る時、圧縮すれば添付ファイルの容量を抑えるため画像の質を落としたり縮小しなくて済みます。これはインターネットを経由するファイルすべてに通じることで、画像ファイルばかりと限りません。

 その他、圧縮したファイルへパスワードを設定し、セキュリティーの目的で使う方法もあります。そうすると、一部のハッカーを除き、パスワードを知らない第三者には解凍できないので、重要な書類をうっかり間違って送ろうと中身を読まれる心配がないわけです(それ以外、もちろん圧縮する前の文書ファイルそのものへパスワードを設定しておく手はありますが)。使い方はどうあれ、活かすも殺すもアイデア次第・・・・・・ご紹介した手前、これらの圧縮ファイルが少しでもお役に立てばと祈っております。

*興味があるかたは、「Yokochinのハイパーテキスト・マニュアル」の「ファイルの圧縮」も、ご参照いただけます。


お断り 

これらのテクニックを試される場合は、みなさん個人の責任でお願いします。何かの手違いからWindowsが動かなくなったとしても責任は取りかねますので、その点をご了承ください。

横井康和        


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