XPのデータをビスタへ移すには?
ビスタの登場からしばらく経ちますが、多くのかたはまだまだXPパソコンを使っておられると思います。ただ、1年近く経つとそろそろビスタ掲載のパソコンへ買い換えるかたが増えてきたのではないでしょうか? そこで、面倒なのが最初のセットアップです。たとえ画面などのセットアップは初期設定(デフォルト)のままでいいというかたでさえ、最低、メールのアドレス帳といったご自分のデータベース関連を移す必要があります。まして、私のような壁紙を含めた画面の表示なども微調整しなくては気がすまないというのであれば、細かいセットアップだけで何日かかかるのは避けられません。
図@
その点、ビスタが便利なのは、別のコンピュータからのファイルと設定の「Windows 転送ツール」です。これはビスタのDVDに含まれており、古いXPパソコンのデータを新しいビスタ・パソコンへ移す場合、ビスタとXPがネットワークにつながってさえいれば、わざわざ外付けのHDDやXPのデータを一時的に保存する共有フォルダを用意しなくても、直接ビスタ・パソコンへ設定とデータを移せます。
図AビスタのDVDに含まれている転送ツールは古いXPパソコンで実行するためのものですから、ビスタ・パソコンだとあらかじめ組み込まれているため、そちらでディスクは必要ありません。まず、元のXPパソコンへビスタのディスクを入れ、インストール画面を表示します(図@)。画面左下2番目の「別のコンピュータからファイルと設定を転送する」をクリックすると起動するのが転送ツールです(図A)。
「次へ」をクリックすると一連の動作が開始され、例のごとく説明文の日本語はややおかしいですが「現在動作しているアプリケーションを閉じる」→「ネットワーク接続を利用して直接転送する」→「ネットワーク接続を使用する」→「ファイアウォールのブロックを解除する」で次の画面へ進み、そこで「いいえ、キーが必要です(N)」を選択するとキーが生成されるので、メモを取って下さい(図B)。
図B
転送方法などを指定すると、XP側では転送する項目を選べるようになるので、いったんXP側へ戻り、「自分のユーザー アカウント、ファイル、および設定のみ(M)」を選んで下さい(図E)。「すべてのユーザー アカウント、ファイル、および設定(A)」を選ぶと複数のユーザーを一気に転送できるものの、個別に行うほうが安全確実です。
図Cメモを取り終わったら、いったんXP側での作業を中断してビスタでの作業へ入ります。ビスタ・パソコンの「スタート」→「すべてのプログラム」→「アクセサリ」→「ウェルカム センター」を起動し(図C)、「ファイルと設定を転送します」を開いて下さい。ここで必要となるのが先ほどメモです。「はい、キーがあります(Y)」を選択し、メモしておいたキーを入力してビスタ側を新しいパソコンに指定します(図D)。
転送するデータを選択し終わったら、転送先のユーザー名を指定し、「次へ」をクリックすると、いよいよXP側の転送準備が完了です。なお、転送中は他のソフトを起動しないで下さい。作業が止まり、最初からやり直すことになってしまいますから。
図D
そして、次の転送データの一覧画面へ進むと、転送の必要のないデータを対象から外せます(図F)。今後もXPパソコンを併用するなら、ビデオのような容量の大きいファイルを転送する必要はないでしょう。容量が大きいと何時間もかかることになるので、2台の役割分担をよく考えた上で必要なファイルだけ転送することをお薦めします。
図Eここで再びビスタ側(図D)の作業へ戻り、「新しい転送を開始する」を選択→「現在使用しているコンピュータ」が「新しいコンピュータ」であることを指定→転送ケーブルは使わないので「いいえ、他のオプションを表示します」を選択→古いコンピュータにWindows 転送ツールがインストール済みなので「はい、インストールしました」を選択します。
こうして転送が開始されると、あとは待つのみです。転送が実行されている間は、転送している項目が表示され、「転送は完了しました」の画面が表示されたら画面左下の「転送されたものをすべて表示する(S)」をクリックし、「Windows 転送ツールのレポート」を開きます(図G)。このレポートで転送内容を確認できる他、それを保存したり印刷することも可能です。
図F
以上、ネットワーク経由でのデータ転送方をご紹介してきました。ただ、これはあくまで基本的なパターンであり、もしネットワーク経由でなく転送ケーブルを使うなら、途中の「いいえ、他のオプションを表示します」という選択を変更すればよく、他のオプションにしても同じことが言えます。
図Gまた、ファイル容量の大きさという観点からでなく、ビデオ(「マイ ビデオ」)や音楽ファイル(「マイ ミュージック」)、そして画像(「マイ ピクチャ」)といったメディア関連のデータは、人それぞれ整理のし方が違ったり、またそれらのファイルを共有する場合、XPとビスタでは共有フォルダの使い勝手が違うので、Windows 転送ツールの手は借りないほうが無難かもしれません。
もちろん、メディア関連のデータであろうとXPの初期設定(ディフォルト)のまま忠実に使ってこられたかたほど、Windows 転送ツールは幅広く、かつ問題なく使用できるはずです。応用範囲がどの程度であれ、とにかく便利なツールだといえます。
お断りこれらのテクニックを試される場合は、みなさん個人の責任でお願いします。何かの手違いからWindowsが動かなくなったとしても責任は取りかねます。また、読者からのご質問、ご相談へは、当「ハリウッド最前線・サイバークラブ」の会員の皆様を除いてお応えいたしかねますので、それらの点をご了承ください。 横井康和 |