ワイン・バー
ロサンゼルスでワイン・バーといえば、もともと少なくなかったのが、最近はさらに新しい店が次々とオープンしています。そこで、今回の「イート・イン・スタイル(レストラン・ガイド)」は、最近オープンまたは移転したワイン・バーを3軒ご紹介しましょう(便宜上、料理の写真へ番号を付けてありますが、これらの番号は店と無関係です)。
■Barnyard
Barnyard
www.barnyardvenice.com
1715 Pacific Ave., Venice
310-581-1015ベニスの「Barnyard」というワイン・バーは去年オープンしたばかりですが、シェフ・オーナーのジェシー・バーバーは「The Tasting Kitchen」でのCDC(料理長)をはじめとする長いキャリアを誇っています。オレゴン州で生まれ育った彼が料理に興味を持ったのは、レーン・コミュニティー大学で心理学を専攻している時でした。そして2000年、かのトーマス・ケリーで有吊な「Bouchon」、そして「The French Laundry」で働き始めるのです。
2003年、ウェスタン料理学校で正式なトレーニングを終えたバーバーは、ユージンの「Marché Restaurant」、ポートランドの「Bluehour」、ビーバートンの「Decarli」などの店でシェフ修行の後、2009年、南カリフォルニアへ移ります。そこで先のThe Tasting Kitchenを経て、自らのプロジェクトを始めたのが2011年のことでした。
そして2012年の結婚を機に、いったん倒産しかかっていたBarnyardを夫婦で新しくオープンするのです。ジェシーの妻セリア・バーバーが支配人を務めるこの店は、GQの「トップ10レストランズ・イン・アメリカ」へ選ばれたばかりか、わずか1年足らずでジェームズ・ビアード賞に3回ノミネートされました。なお、彼が作り出すメニューは地中海および日本料理の影響を受けているのが、食べてみるとよくわかります。
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#5写真は左から「テリーヌ(#1)」、「平目とハマチ(#2)」、「蛸(#3)」、「子牛のボーンマロー(#4)」、「ポークチョップ(#5)」。日本料理の影響が窺(うかが)えるのは平目とハマチあたりです。
■Flores
Flores
www.floreslosangeles.com
2024 Sawtelle Blvd., Los Angeles
424-273-6469今や「Little Osaka」と呼ばれるソーテル通りへ、今年の6月に「Flores」という店がオープンしました。昔は「Sawtelle Kitchen」という日本の洋食屋さんがあった場所です。元「Wolfgang Puck at Hotel Bel-Air」、「L'ATELIER de Joël Robuchon」、「Gordon Ramsay」などのシェフ、ロブ・ローソンと、彼の妻で元「The Bazaar」、L'ATELIER de Joël Robuchon、「Corton」などシェフ、アンジェラ・ヘルナンデスが、やはり夫婦でオープンしました。
2人の他、パストリー・シェフはバルセロナ出身のスペイン人ゼルアンデス・シフィエンテスで、支配人が元「Macao Trading Company」、「Employees Only」、「Bar 11」、「Schiller's」、「Pastis」(すべてニューヨーク)などにいたサンフランシスコ出身のダグニー・メンデルゾーン、そして飲み物の担当は元「RivaBella」、「Little Dom's」などのバーテンダー、セルジュ・ミレンコヴィックという多彩な顔ぶれで良質なサービスを提供しています。
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#10写真は左から「生牡蠣(#6)」、「豚のチーク・コロッケ(#7)」、「グリルド・プロウンのケイジャン味(#8)」、「ソフトシェルクラブ・サンドイッチ(#9)」、「バナナ・アイスクリーム(#10)」。ワインと料理とデザートのバランスが申し分なし!
■A.O.C.
A.O.C.
www.aocwinebar.com
8700 W. 3rd St., Los Angeles
310-859-9859まだ新しい先の2軒とは違って、2002年のオープン以来、フェアファックス通りから1ブロック東のサード通りにあったこの店も、今年の初め今の場所へ移ったばかりです。もともと10年間でメニューの内容がずいぶん変わってきた店なので、移転後は更に新しくなりました(今の場所は、以前、「Il Covo」、「Orso」、「Barbershop」の3店舗が入っており、そのうちのBarbershopは偶然、かつて「A.O.C.」があった場所へ移転準備中です)。
オーナーであるスザンヌ・ゴインとキャロライン・スタインがパートナーシップを組むのは、このA.O.C.が2軒目であり、メルローズ通りにある1軒目の「Lucques」はいわば2人の旗艦(フラッグシップ)といえるでしょう。どちらの店も、ジェームズ・ビアード賞を受賞したゴインがシェフを、そしてソムリエから始めたスタインはビジネス面を担当しています。その絶妙なコンビネーションが、店を成功へと導いた秘訣であることは間違いありません。
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#15写真は左から「ファーマーズ・プレート(#11)」、「クラムのシェリー合えとガーリック・トースト(#12)」、「魚のロースト(#13)」、「ホーム・メイド・ソーセージ(#14)」、「スパニッシュ・フライド・チキン(#15)」。どれも、お母さんの地中海料理という感じです。
その他、数あるワイン・バーの中ではサンタモニカの「Rustic Canyon」も昔からよく行く店の1軒で悪くありません(冒頭のジェシー・バーバーが一時期ここのチーフ・シェフでした)。ロサンゼルスへ来られるワイン好きの方なら、これらのワイン・バー巡りも一考かと思います。
横 井 康 和