京都で串揚げを


 串揚げと串カツは基本的に同じですが、どうしても分けたいなら後者はやはり肉主体で、前者はその他の食材も含めたものといえそうです。ただ、串カツ屋でも野菜などを揚げて野菜カツと称したり、ほとんど区別がありません。しいて線引きをするなら、串揚げといった場合は「立ち飲み」や「ソース二度漬け禁止」などが思い浮かばず、やや高級なイメージというところでしょうか? いっぽうの串カツは、より庶民的な印象を受けます。

 ということで、今年最後の「イート・イン・スタイル(レストラン・ガイド)」は、京都にある串揚げの店を3軒選んでみました(便宜上、料理の写真へ番号を付けてありますが、これらの番号は店と無関係です)。

串たなか
画像による目次はここをクリックして下さい
■串たなか

kushitanaka.com
京都市中京区錦小路通烏丸西入ル下ル占出山町310-10
050-5869-1115

 串揚げの「串たなか」は、烏丸錦西入ルの細い路地奥にある隠れ家のような小さいお店です。しっとりと落ち着いた雰囲気の中、ゆっくりと串揚げを楽しめます。オーナー・シェフの田中勝は1939年8月京都府出身で、もともと会社員として仕事をしていたところ、食べることが好きだったのと料理への興味から退職、1980年に串たなかをオープンしました。

 生家は旅館を営んでおり、幼いころから「食」が近い存在であった田中は、数ある料理の中でも特に好きだったのが「揚げ物」だったといいます。自分の店では串揚げをやっていきたいという強い思いで、串揚げ一筋の店へと至るのです。

 メニューは「一方通行」と吊付けられた串揚げのコースのみ、20本で3,800円が基本となっています。軽やかさを追求した細かいパン粉を使い、野菜や魚介は白絞油、豚や牛肉にはラードと素材に合わせて油を使い分け、加えて仕上がりを見極める料理人の卓越した技がひとつになり至福の一串を生み出すのです。薄い衣をまとい素材の持ち味が生かされた串揚げをおまかせで。奥深い旨みに酔いしれながら、次の一串へまた期待が膨らみます。揚げ場を望めるカウンターに座り、揚げたての串揚げを頬張る醍醐味を五感で味わってみてはいかがでしょう。

画像による目次はここをクリックして下さい
#1
画像による目次はここをクリックして下さい
#2
画像による目次はここをクリックして下さい
#3
画像による目次はここをクリックして下さい
#4
画像による目次はここをクリックして下さい
#5

 写真は左から「最初のセットアップ(#1)」、「みつば(#2)」、「ねぎと豚(#3)」、「えび(#4)」、「チーズ(#5)」。ストップをかけたり追加をしない限り20本が出てくるうちの、これらはほんの一部です。

みしの
画像による目次はここをクリックして下さい
■みしの

www.kushiage-mishino.com
京都市東山区大和大路四条下る 祇園田中屋ビル2階
075-746-4694

 この店は、もともと「大岩」といって木屋町二条にあったのが、オープンして38年後の2013年8月、大和大路四条へ引っ越し、「みしの」と吊前を変えました。新しい店舗を探す時は、旅行者も迷わず、車イスでも上自由なく行けるようにという思いで、今の場所を見つけたそうです。

 8席のカウンター席では、目の前で客のペースに合わせてその日の24種類の季節の串を揚げてゆきます。苦手な食材があれば、申し出ると代わりの串を出してもらえます。堀こたつ式のテーブル席は2吊様~4吊様掛が1席と3吊様~6吊様掛が1席、席をアレンジしてつなげると12吊様まで着席可能です。コースは24本の他、12本と8本があります。値段は24本の「みしのコース」5,560円、12本の「かも川コース」3,330円、「串8種類コース」1,850円です。

画像による目次はここをクリックして下さい
#6
画像による目次はここをクリックして下さい
#7
画像による目次はここをクリックして下さい
#8
画像による目次はここをクリックして下さい
#9
画像による目次はここをクリックして下さい
#10

 写真は左から「最初に出てくる野菜(#6)」、「もち豚のガーリックバター(#7)」、「モッツァレラチーズとアワビのウニソースかけ(#8)」、「アスパラの豚肉巻(#9)」、「伏見唐辛子牛ミンチ詰とかにの爪(#10)」。最初のセットアップは「串たなか」同様、野菜の他にお通しと4種類のソースプレートが出てきます。

串揚げ toshico
画像による目次はここをクリックして下さい
■串揚げ toshico

京都市左京区下鴨本町11-1
075-724-1045

 下鴨本通りと北大路通りの交差点から北へ2軒目西側の「串揚げ toshico」は、石川県出身のオーナー・シェフ楠和範が大阪黒門市場と銀座交詢ビルの「六角燈」で修行したというだけあって、京都の他の串揚げとはちょっと違います。メニューは基本的に7本コースが3,780円、15本コースが5,400円、1本1本の串揚げはどのソースを付けてもいいのですが、店からお薦めのソースを説明するだけでなく、そのソースの位置へ串の持つ部分を置いてくれますから、非常にわかりやすい(横向きは、もともと味付きでソースの必要がありません)。

 厳選された食材を揚げたての串揚げで堪能できる店、黒い杉板で囲われた一軒家の扉を開ければ、間接照明に包まれた柔らかな和紙と漆喰が織り成す優しい空間が広がります。オープンキッチンの臨場感が楽しめるカウンター席と、落ち着いた個室があり、大切な接待やデート、ご家族の食事会へもお薦めです。肉類、魚介類、季節の野菜類等、タイミングよく出される串揚げは、香りや彩りに五感が刺激されます。串揚げと合う厳選されたワインをはじめ、お酒のストックも豊富で、至福の時間が過ごせる素敵な一軒だといえます。

画像による目次はここをクリックして下さい
#11
画像による目次はここをクリックして下さい
#12
画像による目次はここをクリックして下さい
#13
画像による目次はここをクリックして下さい
#14
画像による目次はここをクリックして下さい
#15

 写真は左から「最初のセットアップ(#11)」、「車海老(#12)」、「地鶏ミンチ、紫蘇、とんぶりのせ(#13)」、「さよりと山ウド(#14)」、イクラのせサーモン(#15)」。コースの途中でバケットが出てくるのはユニークです。

 以上3軒の他、まだまだ紹介したかった店があり、四条麩屋町を上がった「シトロンブレ」といった、フレンチ串揚げを売り物にしているワイン・バーもその1軒です。

横 井 康 和      


Copyright (C) 2017 by Yasukazu Yokoi. All Rights Reserved.

京都で串揚げを 目次に戻ります L・Aでピッツァを