| 明治30年(西暦1897年)、帝国陸軍によって制定された6.5ミリ口径のライフル銃は、その開発担当責任者である有坂大尉にちなんで「三十年式有坂歩兵銃」と名づけられた。以後「三十八年式」、「四十四年式」へと発展、1937年(紀元暦2597年)に制定された「九七式」が6.5ミリ口径最後のモデルとなる。中でも「三十八年式」は「サンパチ銃」として有名。 |
| 満州事変などの経験から、より強力な実包の必要性に迫られ、1939年、新たに制定されたのが7.7ミリ口径の「九九式」である。その3年後には「九九式」の落下傘兵バージョンともいうべき、コンパクトに折り畳める「二式」が登場。遠距離および航空機用の照準器は、昔からウィンチェスター・ライフル銃などに採用されていた、西部劇で馴染みのタイプを改良したものだ。 |
| これら一連の「有坂ライフル」は、基本的にモーゼル(ドイツ)のコピーであるが、命中精度で劣らないばかりか、強度や安全性ではむしろ勝っている。大戦後、様々の経路を辿り大量にアメリカへ流入したため、現在も火器見本市などでよく見かける。しかし菊の紋章を削り取ってある物が多く、こんなところに現われる日本人の性格が興味深い。なお、銃床を中心としてスポーツ・タイプにカスタマイズされた本銃は、名付けて「九九式有坂ライフル・スポーター」といえよう。
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| パックマイヤー社・リコイルパット付カスタム・スポーツ銃床の他、オリジナル航空機用照準器に加え、タスコ社「マグW・スコープ(日本製)」をウィーバー社「有坂マウント」で装備。アンクル・マイクズ社ストラップ及びストラップ金具。 |