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(2019年1月)          


Dark Sacred Night
ダーク・サクリード・ナイト

by Michael Connelly


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 本著はマイケル・コネリーの新シリーズ「バラード・アンド・ボッシュ・ノヴェル」の第1作目にあたります。コネリーの読者ならお馴染みのハリー・ボッシュが、一昨年「レイト・ショー」でデビューした若い婦人警官レネー・バラードと組んで事件を解決してゆくというコネリー得意の合体プロットです。冒頭、バラード刑事はLAPD(ロサンゼルス市警)内のジョークで俗に「レイト・ショー(1作目のタイトル)」と呼ばれる夜勤の途中、ハリウッド署へ戻ったら何者かが古い事件簿(ファイル・キャビネット)を漁っていました。その何者かこそ(ハリウッド署を)引退したボッシュ刑事で、彼はどうしても諦めきれない昔の未解決事件を調べていたのです。

 こうしてボッシュと鉢合わせたバラードですが、本来ならばサンフェルナンド署の予備役である彼は無許可でハリウッド署内のファイルを見ることが出来ません。そして、バラードは彼が帰った後、自らもファイルの事件へ興味を引かれてゆきます。彼女は1日のシフトが終わったからと仕事を途中で投げ出すようなタイプの警察官ではなく、この事件にも係わろうと決意するのでした。

 この未解決の殺人事件というのが、被害者はデイジー・クレイトン15歳、ハリウッドでよく見かける家出少女です。惨たらしく殺害され、死体がカヘンガ通りのゴミ箱の中へ捨てられていました。結局、バラードはボッシュと協力してクレイトンの身に何が起きたのかを解明してゆくのです。その途中で2人の刑事の間に微妙な信頼関係が生まれるも、真のパートナーシップは事件が予期せぬ危険な方向へ展開した時、初めて試されます。

 「暗い神聖な夜」と題した本著は、激しく勢いづいたシーンを交えながら展開し、改めてコネリーが犯罪小説のマスターであることを読者は認識されるでしょう。バラードとボッシュの「ホビー・ケース(私的な事件)」、そしてバラードが日々抱える事件の数々との間へ、コネリーは針を通す巧妙な仕事をしています。そこから2人のパートナーシップを構築し、アクションを保ちながら未解決の事件を少しずつ描き出してゆくのです。殺人事件の詳細を描かせれば、事件記者上がりのコネリーの右に出る者はそういないと思いますが、本著では加えて警官の人生を描写することで効果を上げています。

 そして、いよいよ未解決の事件が浮かび上がると、それまでほぼすべての点で意見が対立してきたバラードとボッシュも、「管轄から殺人者を排除する」ため協力を惜しみません。ロサンゼルスは死者のための新しい代弁者を持ったのです・・・・・・コネリー・ファンへは間違いなく!


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(2019年1月)

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