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(1999年6月1日)          




「映画の夏」到来!

アメリカでは5月の慰霊祭(メモリアル・デイ)を過ぎると、いよいよ“映画の夏”が始まりです。今シーズンは先月(5月)19日に製作費12,000万ドルを注ぎこんだ待望の“スターウォーズ・エピソード1、ファントム・メナス”が幕開けとなり、翌週(5月28日)にはヒュー・グラント、ジュリア・ロバーツ主演のコメディー“ノッティング・ヒル”も封切られたばかりですが、さあ、このあとは何が登場するか・・・・・・?


“将軍の娘”(パラマウント): 6月11日公開


陸軍将校の娘の殺人事件から、意外な方向へと広がってゆく波紋。軍の証拠隠滅やセックス・ビデオが絡む捜査を任命される主人公には、当初マイケル・ダグラスが決まっていました。しかし、彼は降りてしまったためジョン・トラボルタが抜擢され、共演の女優マデリン・ストウ("12モンキーズ")はトラボルタ自ら選ぶという曰くつきです。製作費が8千万ドルの大型サスペンス、サマー・シーズン前半の注目株といえるでしょう。(関連記事:「1998年6月1日最新情報」)

“オースティン・パワーズ:デラックス”(ニューライン):
  6月11日公開
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先月、カンヌ映画祭で一足早く披露された“オースティン・パワーズ”の続編は、マイク・マイヤーズ演じる'60年代レトロ調スーパー・スパイが再び活躍します。今回は'60年代へタイムスリップし、やはりマイヤーズ演じる悪役ドクター・イビルとの対決、オリジナル以上のヒットが期待される爆笑コメディーです。

“ターザン”(ディズニー):
  6月18日公開
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蔓(つる)にぶら下がる代わりサーフィンでジャングルを駆け巡る「密林の王者」、ジャングルの平和を脅かす悪人から動物を護るクールなターザンが登場するディズニー・アニメの新作は、トニー・ゴルードウィン("ゴースト")、グレン・クロース("101")などが声優を務めます。また、フィル・コリンズのサントラも話題のブロックバスター候補作。

“トーマス・クラウン・アフェアー”(MGM): 6月18日公開 この映画のオフィシャル・サイト

スティーブ・マックィーンとフェイ・ダナウェイの主演でヒットした1968年度作“華麗なる賭”のリメイク版です。モネの絵画を盗むことが趣味というニューヨークの富豪(ピアース・ブロズナン)と美術保険捜査官(レネ・ルッソ)との駆け引きを、“ダイハード3”のジョン・マクティアナン監督がロマンチックに描いています。ところで、グライダー・シーンのバックでは、やはりミシェル・ルグランの名曲「風のささやき」が流れるのでしょうか?

“ビッグ・ダディー”(ソニー): 6月25日公開 この映画のオフィシャル・サイト

過去2作が2億4千万ドルの収益を上げたアダム・サンドラーの最新作。大学院の法学部卒で社会人としての責任を回避する男が、5歳の男児と出会い保護者になったことから始まる大騒動を描いたドタバタ喜劇です。子供との交流を通じて彼が学ぶものとは? (関連記事:「1999年1月16日最新情報」)

“ワイルド・ワイルド・ウェスト”(ワーナーブラザーズ):
  7月2日公開
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“メン・イン・ブラック”の監督主演コンビ、バリー・ソネンフィールドとウィル・スミスが再び組んだこの夏の目玉商品。時は西部開拓時代、政府おかかえの元祖「秘密諜報員(シークレット・エージェント)」コンビが活躍する'60年代のヒットTVシリーズを、このリメイク版ではスミスがジェームス・ウエスト、ケビン・クライン("イン・アンド・アウト")が変装名人の相棒アーティマス、対する悪徳発明家ドクター・ラブレスはケネス・ブラナ("相続人")が演じます。

“アメリカン・パイ”(ユニバーサル): 7月9日公開 この映画のオフィシャル・サイト

高校の卒業パーティーまでに童貞を失うと誓った友人グループの滑稽な素顔を描いたコメディーで、'90年代版“ポーキーズ”ともいうべき、現代の過激な高校生活模様を当事者の視点から見た期待作です。

“アイズ・ワイド・シャット”(ワーナーブラザーズ):
  7月16日公開
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巨匠スタンリー・キューブリックの遺作となったこの映画は、トム・クルーズ、ニコール・キッドマン夫妻主演の、セックスへの異常な執着心と嫉妬がテーマという以外は、いっさいがベールに包まれています。クルーズの女装シーンは、どうやらたんなる噂にすぎまかったようですが、ともあれ“スターウォーズ・エピソード1”と並ぶ、この夏、もっとも注目される映画の1本であることは間違いありません。

“ハウンティング”(ドリームワークス): 7月23日公開 この映画のオフィシャル・サイト

“スピード"、"ツイスター”のアクション監督ヤン・デ・ボンが挑んだ究極のゴースト映画。主人公はまるで生命体のような「お化け屋敷」で、「目に見えない物」から引き起こされる恐怖がミソだと、もっぱらの前評判です。“スターウォーズ・エピソード1”のリアム・ニーソンと、“エントラップメント”のキャサリン・ゼータ・ジョーンズが共演します。

“インスペクター・ガジェット”(ディズニー):
  7月23日公開
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半分ロボットで半分人間というコミック・ブックのキャラクター、ガジェット刑事をマシュー・ブロードリック("ゴジラ")が演じ、奇想天外なハイテク武器を使って犯罪に挑むSFコメディーです。ルーパット・エベレット("ベストフレンド・ウェディング")の悪役ぶりが見もの!

“ボウフィンガー”(ユニバーサル):
  7月23日公開
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スティーブ・マーチン演じる売れない監督が、自作のエイリアン映画“チャビー・レイン”へ起用したエディー・マーフィー演じる素人が売れっ子スターとなり、今度は彼を追っかけて実生活を撮り始めるというコメディー。なんとなくサンダンス映画祭に屯(たむろ)する映画監督の卵を刺激しそうな筋書を、“スターウォーズ・エピソード1”ではヨダの声を担当するフランク・オズ("イン・アンド・アウト")が監督しました。

“ディープ・ブルー・シー”(ワーナーブラザーズ): 7月30日公開

“クリフハンガー"、"ダイハード2”などのレニー・ハーリン監督がターミネーター風シャークの恐怖を描いた海洋SFスリラー。物語は洋上に浮かぶマリン・リサーチ・センターの沈むところから始まり、驚異的な知能と破壊力を兼ね備えた「スーパー・ジョーズ」が暴れまくるサミュエル・L・ジャクソン("交渉人")主演のアクション大作です。

“サマー・オブ・サム”(タッチストーン): 7月30日公開 この映画のオフィシャル・サイト

1977年ニューヨークで実際に起こった「サン・オブ・サム連続猟奇殺人事件」を、スパイク・リー監督が映画化したもので、主演は“シン・レッド・ライン”のエイドリアン・ブローディーと“ロミオとジュリエット”のジョン・レグイザモ。犯人デビッド・バーコウィッツと悪友仲間が生まれ育ったブロンクス地区を背景に、昔から結束の固い住民たちの困惑や心の葛藤を描きだしています。

“ランアェイ・ブライド”(パラマウント): 7月30日公開

“プリティー・ウーマン”のジュリア・ロバーツとリチャード・ギアが再び組んだロマンチック・コメディーです。過去3度、結婚式をすっぽかした経歴の持ち主(ロバーツ)と、彼女の4度目の結婚式で遭遇した記者(ギア)との恋物語。

“ファイト・クラブ”(20世紀フォックス): 8月6日公開

ブラッド・ピット、エドワード・ノートン、ヘレン・ボンハム・カーター("鳩の翼")共演、デビッド・フィンチャー監督("セブン")のこの映画は、ヤミの素人賭ボクシングの世界がテーマです。ヤッピー層を狙うヤミのボクシンブ・クラブを経営する若者2人と、その残酷さやマネー・パワーで踊らされる客の悲哀を描いた話題作、なんといっても若手演技派ピットとノートンの共演が見どころでしょう。

“ミステリー・メン”(ユニバーサル):
  8月6日公開
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架空の都市、チャンピオン・シティーのスーパーヒーローたちが休暇中に勃発する危機と、そこへ立ち向かう「偽物ヒーロー」たちと悪のボス、カサノバとの戦いをコメディックに描いたSFコメディー作品です。ベン・スティラー("メアリーに首ったけ")、ジェフリー・ラッシュ("恋に落ちたシェイクスピア")、ウィリアム・メイシー("プレゼントビル")といった実力派が火花を散らせます。

“サーティーンス・ウォリアー”(ディズニー): 8月13日公開 この映画のオフィシャル・サイト

マイケル・クライトン("エアーフレイム")の原作を映画化したもので、長い間公開を見送られてきたのが、いよいよ公開。ピテカントロプスらしき類人猿の残党と戦う古代バイキング13番目の戦士を演じるのはアントニオ・バンデラス("マスク・オブ・ゾロ")です。

“ティーチング・ミセス・ティングル”(ミラマックス): 8月20日公開

当初のタイトル“キリング・ミセス・ティングル”は、4月にコロラド州で起こった高校銃撃殺人事件のため急遽変更されました。“スクリーム”他、一連のティーン・ホラーのクリエイター、ケビン・ウィリアムスが「先生をいじめる生徒たち」をテーマに初めて監督するホラー・コメディーで、いま人気絶頂のティーン・スター、ケイティー・ホルムズ主演。

“ミューズ”(オクトーバー・フィルム): 8月20日公開

脚本監督を兼ねるアルバート・ブルックス("ミスター・コンプレックス/結婚恐怖症の男")が、挫折したあげく学芸を司る女神ミューズ(シャロン・ストーン)へ救いを求める脚本家に扮し、ハリウッド映画業界を思いっきり皮肉った社会派コメディー。多くの大スターがカメオ出演しているところもミソです。

“イズント・シー・グレート”(ユニバーサル): 9月3日公開 この映画のオフィシャル・サイト

“ハネムーン・イン・ベガス”のプロデューサー、マイク・ロベル("あなたに降る夢")と監督、アンドリュー・バーグマン("ソープディッシュ")が再び組んだコメディーで、主演はベット・ミドラーとネーサン・レーン。ポール・ラドニック("イン・アンド・アウト")が脚本を書いています。

ざっと20本をご紹介してきましたが、この他にも、まだまだ期待作は目白押しです。さあ、どの映画が今年の「サマー・レース」を勝ち取るでしょうか!?





ヤッピー・キラー?

1980年代初頭のニューヨーク、マンハッタンといえば、「スタジオ54」に代表されるハイクラスなクラブや、そこで屯(たむろ)するリッチなヤッピー群像が象徴する華やかな時代でした。デザイナー・スーツやカクテル・ドレスをまとい、年収とコカインしか頭にないヤッピーたちの姿さえ、今では懐かしく思い出されるレーガン政権下の一時代。その若手エリート社会の「落とし子」とでもいえる連続殺人鬼パトリック・ベイトマンの醜い葛藤を克明に描いた映画“アメリカン・サイコ”がトロントで撮影中です。“レス・ザン・ゼロ”ではビバリーヒルズの裕福なティーンエージャーの麻薬浸りの素顔を暴露した若手小説家ブレット・イーストン・エリスが1991年に書いたベストセラー小説を映画化したこの作品は、大物プロデューサー、エドワード・プレスマン("THE CROW/ザ・クロウ")製作、メアリー・ハロン("アンディ・ウォーホルを撃った女")監督の意欲作ですが、暴力描写の多い猟奇的な原作の血なまぐささは抑え、どちらかといえば社会風刺のブラック・コメディー・タッチだとか。原作で登場するアルマーニやベルサーチなどのデザイナー・ブランドが殺人鬼ベイトマンの衣装提携を拒否した結果、映画ではニノ・セルーティのスーツをまとったベイトマンが、高級トレンディー・レストラン、身体のシェイプアップとコカインに傾倒しながら、仕事場のライバル、昔の恋人、あげくの果ては子供、ホームレス、売春婦、ペットと非力な犠牲者を次々と殺戮してゆきます。そんな狂人を演じるのが25歳の英国人俳優クリスチャン・ベイルです。14歳の時、スピルバーグ監督作“太陽の帝国”へ主演し、日本軍に爆撃される上海の街を親を捜しながら遁走するベイル少年の姿は印象深いシーンでした。その後、ケネス・ブラナ監督作“ヘンリー5世"、ジリアン・アームストロング監督作“若草物語"、ジェイン・カンピオン監督作“ある貴婦人の肖像”と、大物監督の映画で活躍し、ブラナ監督の最新作“真夏の夜の夢”へも出演しています。ウェールズ出身で、今や完璧なアメリカ英語をマスターし、プレミア・マガジンから「もっともホットな30歳以下の主演男優」として指名されるほどの成長ぶりを見せるベイルが10歳でデビューした映画は、なんとあの「変なおじさん」ローワン・アトキンソン("ミスター・ビーン")主演のコメディー“ナード”なのです。なお、オスカー・ノミネート作“アフリクション”を製作した新興勢力ライオンズ・ゲート・スタジオが、この映画をクランクインするまで、そう順調だったわけではありません。去年の夏、レオナルド・ディカプリオが主演の意志表示をし、そうすると映画の方向性は変わってしまうことを理由に猛反対したハロン監督をスタジオはいったん解雇するのですが、結局ディカプリオはパスして再び彼女が雇用されるという曰くつき。ハンサムで金持ちで常に群をなして行動し、怖いもの知らずであったはずの'80年代ヤッピーたちへ鋭いメスを入れたこのドラマは、大人になったベイルの演技ともども期待が持てる1作といえるでしょう。





キューブリックよ永久(とわ)に!

2年間がかりで完成した最新作“アイズ・ワイド・シャット”を納品した直後、公開を見ぬまま3月に他界した巨匠スタンリー・キューブリック監督は、死後もその偉大さを示すごとく3大スタジオ提携の新しいプロジェクト契約が話題を集めています。というのは、ワーナーブラザーズ・ホームビデオ、MGMホーム・エンターテイメント、ソニー傘下のコロンビア/トライスター・ホームビデオの3社が、映画史上初の試みとしてキューブリックの映画9本をジョイント・ビデオ配給するというものです。発売日は“アイズ・・・”の全米公開とタイミングを合わせ、2週間前の6月29日、9本のうちワーナー製作“ロリータ(1961年)"、"時計じかけのオレンジ(1971年)"、"バリー・リンドン(1975年)"、"シャイニング(1980年)"、"フルメタル・ジャケット(1987年)"とMGM製作“突撃(1957年)”の6本が初めてDVD化される他、残るMGM製作“現金に体を張れ(1956年)"、コロンビア/トライスター製作“博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1963年)"、ワーナー製作“2001年宇宙の旅(1968年)”の3本も、VHSとDVDの両方が発売されます。価格はVHSが19ドル98セント(長編“バリー・・・”のみ2本構成で24ドル98セント)でDVDが24ドル98セントと、比較的購入しやすく、縮小版オリジナル映画ポスターの付録つきです。また、コレクター用の保存版として、ワーナーとコロンビア/トライスター映画7本セットがVHS124ドル92セント、DVD149ドル92セントとなっています。なお、この企画はキューブリックの生前から進められており、彼自ら積極的に製作へ加わっていたそうです。トム・クルーズとニコール・キッドマンの赤裸々なセックス・シーンが話題の予告編、そして撮影中にクルーズ夫妻が「セックス医」を必要としたという事実無根の記事を掲載し、クルーズから訴えられているイギリスのゴシップ紙「スター」など、封切り前から注目を集める遺作“アイズ・・・"。その封切りでますます高まると思われるキューブリック熱ですが、映画史上に名を残す名監督のファンならずとも、ぜひ手に入れておきたいビデオ・コレクションですね!




(1999年6月1日)

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