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キートンの新作
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年)」、「スポットライト 世紀のスクープ(2016年)」と、主演作が2年連続でアカデミー作品賞を受賞し、前者では主演男優賞へもノミネートされて話題となったマイケル・キートン(写真)。そんなキートンが、CBSフィルムズとライオンズゲートによる、ビンス・フリンのベストセラー小説「アメリカン・アサシン」を映画化した新作へ出演すると決まりました。キートン以外のキャストはまだ決定していません。原作だと、テロリストを追いつめるCIA捜査官ミッチ・ラップの奮闘を描くスパイ小説シリーズの11作目ですが、映画ではテロで恋人を失った若きラップが、いかにしてCIAのメンバーとなったかへ焦点を当てています。キートンの役柄は冷戦時代に活躍した元兵士スタン・ハーレーで、数えるほどの人間しかその存在を知りません。彼が上司からラップへテロリストと戦うための知識と技術を叩き込むよう指示され、物語は幕を開けます。結果、謎の組織が中東で第3次世界大戦を勃発させようとするのを阻止すべく、2人(ハーレイとラップ)はトルコの諜報員と協力し・・・・・・ドラマ「ホームランド」のマイケル・クエスタが監督し、脚本はクリント・イーストウッド監督主演作「トゥルー・クライム(1999年)」のスティーブン・シフが書いています。CBSフィルムズとライオンズゲートはシリーズ化を視野に入れており、主人公ラップを演じる若手俳優を間もなく発表する見込みで、今夏クランクインの予定です。なお、4月15日より日本でも、ようやく「スポットライト 世紀のスクープ」が公開される他、全米ではキートンがマクドナルド創業者レイ・クロックを演じる伝記映画「ファウンダー」が8月4日から封切られます。
刑事役のロペス
人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」の審査員として新たなファン層を獲得したり、ラスベガスで定期公演を行ったりと活躍を続けるジェニファー・ロペス(写真)、その彼女が「ブルックリン警察 −内部告発−」で久々に女優として登場します。NYPD(ニューヨーク市警)ブルックリン署の刑事、ハーリー・サントス(ロペス)は、まさか自分の人生がこれほど変わってしまうとは思ってもいませんでした。運命のその日、サントスが犯罪組織の男から賄賂を受け取ったのは、彼女の上司であるマット・ウォズニアック警部補(レイ・リオッタ)が、ある程度の犯罪を容認することで、さらなる犯罪の拡大を抑制できると判断し、組織との裏取引を部下たちへ指示していたからです。しかし、その日に限って取引はFBIが仕組んだワナでした。ロバート・スタール特別捜査官に連行されたサントスは、無罪と引き換えで内部汚職の情報提供者となることを強要されます。シングル・マザーで一人娘の幸せが何より大切なサントスは、自らの仕事と名誉を守るため捜査チームを裏切ろうと決意するのです。そして、互いの悩みを打ち明け、支え合い、いまや家族同然の仲間と、次から次へと勃発する事件の捜査へ当たるうち、激しい葛藤に苦しむサントスでした。そんな時、部下も知らない危険な秘密を抱えたマット警部補が、FBIの動きを察知し、裏切り者の存在を疑い始め・・・・・・今年1月7日に全米放映されたプレミアは好評で、日本でも先月(3月)16日から配信が始まっています。キャスティングはロペスやリオッタの他、「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」のエミー受賞者ドレア・デ・マッテオらが出演し、最初の2エピソードの監督とエピソード1の製作総指揮も務めたのは、「レインマン(1988年)」でアカデミー監督賞を獲得したバリー・レヴィンソンです。
アフレックは語る
先月(3月)25日に全米公開されたばかりのザック・スナイダー(写真右)監督作「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」は、予想通りの快進撃を続けています。本作で「バットマン」ことブルース・ウェイン役を演じるのが、ご存知のとおり監督としても高い評価を受けるベン・アフレック(写真左)です。彼は当初、バットマンを演じるかどうかを悩み、最終的に出演を決めたわけですが、今ようやくその理由を明かしました。「アルゴ(2012年)」で主演と監督を兼任し、アカデミー作品賞を受賞したアフレックは、演技のみならず、撮影方法に関する意見も辛辣なことでも知られています。そんなアフレックながら、「誰もが自分の『バットマン像』を持っている。それをうっかり破ってしまうことが本当に恐ろしかったんだ」とバットマンを演じることへ恐れを感じていたそうです。ところがアフレックは、脚本を読んだ時に本作への出演を決意します。「僕が見せてもらったバットマンはキャリア終盤にあり、自分の貫いてきた正義へ少しでも価値があったのだろうかと考え込み、悩んでいるキャラクターだったんだ。車を何台も持ち、いつも女性に囲まれるプレイボーイというのは、バットマンのマスクと異なる別のマスクにすぎない。彼は自分の魂へ開いた穴を必死に埋めようともがく、1人の男だった。その姿へ僕はとても魅力を感じたんだ」と振り返り、本心を明かしました。世界的な人気を誇るバットマンとスーパーマンが、全力を尽くしてバトルに挑む姿を描いた本作は、行き過ぎた正義で批判されるバットマンと、超人的能力を持ち人類から巨悪とみなされ「過大な力は害をもたらす」と恐れられてゆくスーパーマンが対面し、やがて「世紀の対決」へと姿を変えるアクション大作です。
売れっ子ロビー
「ウルフ・オブ・ウォールストリート(2015年)」や「マネー・ショート 華麗なる大逆転(2015年)」などで好評を博したマーゴット・ロビー(写真)が、不名誉なフィギュア・スケート選手として知られるトーニャ・ハーディングの伝記映画「アイ、トーニャ」で主演することになりました。ポートランド出身のハーディングは、1991年アメリカの女子選手で初めてトリプル・アクセルを成功させ、メダル獲得こそ叶わなかったものの翌1992年のアルベールビル・オリンピックへ出場しています。そして、1994年のリレハンメル・オリンピック選考会(全米選手権)直前、ライバル選手のナンシー・ケリガンが何者かに襲われ欠場した結果、ハーディングは(全米選手権で)優勝するのです。しかし、彼女の元良人ジェフ・ギルーリーが事件への関与で逮捕され、投獄を免れるため元妻が共犯であると暴露、後に事件の全容が明らかとなり、ハーディングは全米スケート協会より1994年の全米選手権優勝を剥奪され、事実上選手生命が絶たれました。汚名を負ったハーディングながら、それからもギルーリーとのセックス・テープ流失など話題は尽きず、2000年初頭にボクサーとして活動していた時期もあります。本作の脚本は「P.S. アイラヴユー(2007年)」や「クーパー家の晩餐会(2015年)」などのスティーヴン・ロジャースが担当し、彼はハーディングとギルーリーへの取材を何度も重ね、執筆に臨みました。誰が監督を務めるかは、まだ決まっていません。なお、本作でプロデューサーも務めるロビー、7月1日全米公開予定の「レジェンド・オブ・ターザン」でジェーン・ポーター役を演じる他、デヴィッド・エアー監督作「スーサイド・スクワッド」が8月5日の全米公開、日本では9月10日公開の予定です。続いてヴォーン・スタイン監督作「ターミナル」での主演も決定しています。
ジャクソンの遺産
故マイケル・ジャクソン(写真)の子供達が、9億ポンド(約1,450億円)の遺産のほとんどを失う可能性がありそうです。プリンス19歳、パリス17歳、ブランケット14歳の3人の子供達は30歳になった時、それぞれ巨額の遺産を相続する予定ですが、税務当局はマイケルの遺産から5億5,500万ポンド(約895億円)の支払を求めているといわれており、また2009年6月の急性プロポフォール中毒で死亡の際、ジャクソンが抱えていた負債は3億ポンド(約484億円)以上とみられています。ある関係者が「サン紙」へ、「書面上、マイケルの子供達は億万長者です。しかし、まず巨額の税金を片づけなければならないので、受け取る時期が来ても手元にほとんど入って来ないであろうというのが現状です。国税庁は5億5,500ポンドの要求を公にしてきていますし、支払が遅れた場合はさらに罰金が科せられます」と話しているのです。また、先日ジャクソンの遺産管理団体がソニー/ATVミュージック・パブリッシングへジャクソンの保有していた同社の株式を5億2,600万ドル(6億円弱)で売却したことを受け、さらにおよそ7,000万ポンド(約112億円)が課税されています。前述の関係者は、「遺産管理団体側がかなりの額の要求を試みたものの、ソニー側は買い取るため必要な額を支払うつもりしかありませんでした」と続けました。いっぽう、1999年のオークションでジャクソンが154万ドル(約1.7億円)を投じて購入した「風と共に去りぬ(1940年)」のオスカー像は、もともと30万ドル(約3,300万円)ほどの価値があるといわれ、本来は子供達の所有物であるはずが、遺産管理団体へはそれがどこにあるかもわかっていません。死んでなお人騒がせな父親と、可哀想なのはその子供達!
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(2016年4月)
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