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ジョンソンの新作
ウォルト・ディズニー・スタジオは一連の「パイレーツ・オブ・カリビアン」の成功に気を良くして、ディズニーランドの他のアトラクションを映画化してきました。しかし、「ホーンテッドマンション(2003年)」など何本も製作された中で「パイレーツ・オブ・カリビアン・シリーズ」を凌ぐ作品がないばかりか、ジョージ・クルーニー主演作「トゥモローランド(2015年)」は1.9億ドル(約209億円)の製作費に対する興行収益が1.7億ドル(約187億円)と悲惨な結果で終わっています。それで懲りたと思いきや、今度はディズニーランドのアトラクション「ジャングルクルーズ」をドウェイン・ジョンソン(写真)主演で映画化する企画で、スペインの鬼才ジャウマ・コレット=セラが監督に抜擢されました。コレット=セラは、「蝋人形の館(2005年)」や「エスター(2009年)」といったホラー作品から、「フライト・ゲーム(2014年)」や「ラン・オールナイト(2015年)」といったリーアム・ニーソンとのタッグ作でも知られ、新しいところでブレイク・ライヴリー主演のスリラー作「ロスト・バケーション(2016年)」が低予算ながらもヒットを飛ばしています。また、DC映画「スーサイド・スクワッド」続編監督の筆頭候補としても報じられていたものの、今回の決定からそちらのメガホンは取らない可能性が高くなったと言えるでしょう。東京ディズニーランドにもあるアトラクション「ジャングルクルーズ」は、勇敢で陽気な船長とボートに乗ってさまざまな野生動物たちを観察しながらジャングルを探険するもので、このアトラクションへ基づくという以外、ストーリーの詳細は明らかになっていません。ただし、「スター・トレック BEYOND(2016年)」の脚本家であるパトリック・マッケイとジョン・D・ペインが最新の脚本を書き終わっており、ジョンソンは元妻ダニー・ガルシアらとプロデューサーも務め、来年(2018年)春のクランクイン予定です。
監督デビュー
「ジュラシック・ワールド(2015年)」のヒロイン役で知られる女優ブライス・ダラス・ハワード(写真)が、マシュー・クイックの小説「ソータ・ライク・ア・ロック・スター」の映画化で長編監督デビューを果たすと発表されました。名匠ロン・ハワードを父に持つブライスは以前から映画監督を夢見ており、これまでもリリー・コリンズをフィーチャーしたパンク・バンド「M-80」のミュージック・ビデオの他、映画監督を目指す若い才能へチャンスを与えることを目的として父ハワードが立ち上げた「キャノン:プロジェクト・イマジネーション」の一環として制作された「ホエン・ユー・ファインド・ミー」など、短編映画では数本のメガホンを取った実績があります。初の長編の原作小説は、家族と大喧嘩の末に家を飛び出した明るく前向きな女子高校生アンバー、母親が運転手を務めるスクール・バスで暮らしながら高校生活最後の年を何とか切り抜けようと奮闘する姿を描いた青春ドラマです。映画版の製作はフォックス・サーチライト、「マリーゴールド・ホテルで会いましょう(2011年)」の脚本家オル・パーカーが執筆した最新稿をもとに現在企画進行中ながら、まだ初期の段階で配給元は決まっていません。もちろんハワードが女優稼業を廃業するわけではなく、彼女の主演作である「ジュラシック・ワールド」続編の「ジュラシック・ワールド:フォーリン・キングダム」も来年(2018年)6月22日の全米公開へ向かって着々と進行中。こちらはハワード同様、クリス・プラットが続投する以外、「ジュラシック・パーク(1995年)」と続編「ロスト・ワールド ジュラシック・パーク(1997年)」へイアン・マルカム博士で出演したジェフ・ゴールドブラムも復帰します。こちらも楽しみですね!
ロバート・ヴォーンの遺作
TVシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」でお馴染みのロバート・ヴォーン(写真)の遺作となった映画「ゴールド・スター」について、主演、脚本、監督を務めたヴィクトリア・ネグリがニューヨークのカフェベネで語りました。本作の主人公は、音楽学校を中退し、何の目標も持たず、ただ生きていた20代のヴィッキー(ネグリ)です。ある日彼女は、疎遠だった90歳の父親カーマイン(ヴォーン)が脳梗塞を患い入院したという知らせを母親ディアンから受けます。ヴィッキーは脳梗塞で口がきけなくなった父の介護をすることになり、さまざまな困難と直面するという物語です。女優として10年以上のキャリアを持つネグリ、ニューヨーク大学で演劇を学び卒業したものの、仕事がなくてフラストレーションを感じていたといいます。それでも独立系作品のプロダクション・デザインやアシスタント・ディレクターをやりながら脚本も執筆していたそうです。そんな彼女が今作へ至るまでの経緯は、「2011年に実の父が脳梗塞を患い、その時、自分がやりたいことを出来るのは限られた時間しかないと気づかされたのよ」と語っています。彼女が父親の介護をしながら監督をする決意を固めたのは24歳の時で、父親が87歳でした。いっぽう、ヴォーンのキャスティングに関しては、「幸いキャスティング・ディレクターのジュディ・ボウマンが撮影地コネティカット出身で、脚本の内容をよく理解し共感してくれたの。そんな彼女のおかげで、ロバートは脚本を読んでくれたのよ。ばかりか、私たちが支払える出演料を呑んだ上、交渉もせずオファーの1週間後に参加を決めてくれたわ」と話しています。ヴォーンの決め手となったのは口のきけない役柄であり、身体的なチャレンジが必要だったことだとか。
ソーシャル・メディアの威力
下着ブランド「ブルーベル」が発表した世界で最も稼ぐモデルに、カーラ・デルヴィーニュ(写真)24歳が選ばれました。ケイト・モス、ナオミ・キャンベル、ジョーダン・ダンらを抑え、モデルの長者番付トップへ躍り出たデルヴィーニュは去年、「シャネル」、「プーマ」、「リンメル」との提携で800万ポンド(約11.6億円)の収益を上げ、単純計算で1日22,000ポンド(約320万円)を稼いだことになります。彼女がトップになった理由の一つは、インスタグラムで4,000万以上、ツイッターで900万以上のフォロワーを有するソーシャル・メディア上での活躍だということです。この点をブルーベルのチーフ・エクゼクティブ、エミリー・ベンデルが、「順位はソーシャル・メディアの力というものを示しています。カーラ(デルヴィーニュ)はインスタグラム上の4,000万人もの潜在的な顧客へ直接アピールできることになりますから、ケイト(モス)より上位なのも納得できますね。ブランドが新しい顔を探す時、これはとてもパワフルな指標になっているのです。ケイトの場合、個人レベルでインスタグラムへ投稿せず、エージェンシーを通して行うだけ。疑う余地なく彼女はインタビューを何年も拒否したりと神秘的なイメージを作ることに成功していますが、ソーシャル・メディアをやらない危険性はあります」と分析しています。また、モスとデルヴィーニュは「バーバリー」のキャンペーンで一緒に仕事をしていても、モスがデルヴィーニュを上回る金額を稼ぐことはないと言うベンデルが、「ケイトは未だファション業界のアイコンであり、これから10年引っ張りだこであり続けるでしょう。でも、収益面でカーラに及ぶべくもありません。インスタグラムが未来のスターたちの行方を決定しているのです」と続けました。
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(2017年8月)
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