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(2019年4月)          




タランティーノの新作

「ヘイトフル・エイト(2015年)」から4年振りとなるクエンティン・タランティーノ(写真右)監督の9作目「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、「ジャンゴ 繋がれざる者(2012年)」でタランティーノ監督作初出演のレオナルド・ディカプリオと、「イングロリアス・バスターズ(2009年)」で同監督作初主演のブラッド・ピット(写真左)の顔合わせが注目を集めている話題作です。舞台は1969年の米ロサンゼルス、売れない元西部劇スターのリック・ダルトン(ディカプリオ)と、長年、彼のスタントマンを担当する親友のクリフ・ブース(ピット)が、ハリウッドで成功するためにもがく姿を、チャールズ・マンソン(デイモン・ヘリマン)率いるカルト集団マンソン・ファミリーによる、当時の大女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)を殺害した無差別殺人事件と絡めて描いています。その他のキャストは、50年以上のキャリアを誇るオスカー俳優アル・パチーノ、「ヘイトフル・エイト」のブルース・ダーンらハリウッドの重鎮をはじめ、見事な成長を遂げたダコタ・ファニング、「X-MENシリーズ」のジェームズ・マースデン、「イン・トゥ・ザ・ワイルド(2007年)」のエミール・ハーシュ、「HOMELAND/ホームランド(2011年)」のダミアン・ルイス、NetflixのTVドラマ「マインドハンター(2017年)」のデイモン・ヘリマン、そして「レザボア・ドックス(1992年)」、「ヘイトフル・エイト」のティム・ロスやマイケル・マドセン、「デス・プルーフinグラインドハウス(2007年)」、「ヘイトフル・エイト」のカート・ラッセルといったタランティーノ作品でお馴染みの面々も顔を揃えており、今から公開が楽しみです。本作の全米公開は7月26日、日本では秋の公開を予定しています。



ジョーンズの弁護士役

「博士と彼女のセオリー(2014年)」でアカデミー主演女優賞へノミネートされ、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー(2016年)」ではアクション・ヒロイン役に挑戦するなど幅広い活躍を見せるフェリシティ・ジョーンズ(写真)が、新作「ビリーブ 未来への大逆転」では実在のアメリカ合衆国最高裁判所の女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグを演じました。85歳で現役判事として活躍し、{RBG}というイニシャルで現代アメリカの文化的アイコンとして親しまれる存在であるギンズバーグが、いかにして現在の男女同権の道を切り拓くための法廷へ身を投じることになったのか、本作では1960年代から70年代への彼女の戦いを描き出しています。以前から出演作品を選ぶ際、作品が持つメッセージ性や思想を大切にして、それを信じるからこそ引き受けてきたというジョーンズ、ギンズバーグの存在や功績は知りつつも、彼女がどんな道を歩み、いかに戦ってきたのか詳しくは知らず、脚本で初めて触れたそうですが、女優として、一人の女性としてギンズバーグへひきつけられ、出演を即決したとか。「仕事や人生で試練とぶつかり、立ち向かっていく女性をずっと演じたいと思っていたの。この映画は伝記というより、いかにしてこんな素晴らしい女性が誕生したのか、その道のりを描いているわ。加えて、素晴らしい家族のドラマでもあり、ユーモアのセンスもあり、自分の『女優としてやりたいことリスト』の全ての項目へチェックがつくような作品よ」と語っています。クライマックスの法廷での最終弁論では、圧倒的に不利な状況の中で、彼女が静かに、しかし力強く語る言葉は人々の心へ深くしみわたり、映画史に刻まれる名スピーチ・シーンです。



若きニック・フューリー

現在、日米で公開中のマーベル・スタジオ作「キャプテン・マーベル」をご覧の方ならご存知のとおり、後にアベンジャーズを結成する諜報機関シールドのサミュエル・L・ジャクソン演じるニック・フューリーが若き日の姿で登場します。1990年代の時代背景と合わせてジャクソンを若返らせるため、監督のアンナ・ボーデンとライアン・フレックは、「パルプ・フィクション(1994)」をはじめ1990年頃のジャクソンが出ている映画をすべて観たそうです。その結果、スタッフともども、目標としていたのは「187(ワンエイトセブン)(1997年)」や「交渉人(1998年)」あたりのジャクソンらしく、ボーデン監督曰(いわ)く、「でも『パルプ・フィクション(1994年)』の頃の髪形だけは再現できなかった」といいます。また、予告編を観たジャクソンが、「もしかしたら『交渉人』の時の俺と似ているんじゃないかな? あの頃の自分のルックスは覚えてるんだ」と語っていますが、撮影中はもちろん現在の自分のままで、顔へ後のCG処理用のマーカーを付けて演技をしなくてはなりません。「自分の顔に黒い点がたくさんついてるんだよ。それで、そんなものついていないって感じで演技をするうち、すっかり忘れちまう。だから、撮影が終わって控室(トレーラー)へ戻ると、顔に黒い点がついているってわけさ」とのことです。本作のフューリーは、まだ驚異的なパワーを持ったヒーローの存在など信じておらず、それだけに「アベンジャーズ・シリーズ」とは違い、地球外の存在への驚きを隠さず、常にキャプテン・マーベルが彼をリードします。ジャクソン自身、「この頃のニックはそれほど名誉欲もないだろうし、賢い振りもせず、年齢からくるほど斜に構えてもいない。まったく新しいニック・フューリーが、ついに初めて地球外生物と遭遇するんだ」と話していました。



イブのクローン振り

2月の「お先に失礼!」でもご紹介したキアヌ・リーブス主演作「レプリカズ」は、残念ながら映画としての出来が今いちながら、リーブスの演技はさすがでした。そのリーブス演じる倫理に反した暴走が加速してゆく科学者ウィリアムの妻モナ・フォスター役のアリス・イブ(写真)は、身体的な能力が評判です。モナは良人へ、失敗続きの倫理と反した研究をやめるよう迫るのですが、彼が聞く耳を持たず、彼女は苛立ちを覚え始めます。そんな中、不慮の事故で突如命を落としたはずのモナが目を覚ますと、そこには傷ひとつない状態の自分がいました。皮肉なことに、やめさせたかった良人の研究でクローンとして生き返ったのです。そうとは知らず、記憶や身体へ違和感を覚え始めたモナは良人を問い正し、クリスマスの夜、予期せぬトラブルが・・・・・・製作と脚本のスティーブン・ハメルは、「アリス(・イブ)の持つ雰囲気が、このジャンルの世界観とよくマッチしている。この映画にとって、とても重要な温かさと人間性をもたらしているんだよ」と絶賛しています。また、監督のジェフリー・ナックマノフは、「長い時間息を止めていることが出来るし、クローン生成ポッドへ入るのもスポーツ選手みたいにうまい」とイブの身体能力の高さへ驚きを見せているのです。さあ、イブは「レプリカ」をどう演じるのでしょうか? クローン・ポッドから「生まれる」彼女も必見です。日本ではアメリカの約4ケ月遅れで5月17日の公開を予定しています。そして、その後に控えているのが、ロジャー・エイルズの企画するイブとマーゴット・ロビー、シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマンらの共演作(タイトル未定)です。



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