バルセロナ・ナイツ


 この「ハリウッド最前線」をお届けしている「DENパブリッシング」はビバリーヒルズを本拠地とする音楽出版社であり、'90年代に自ら制作した原盤をアメリカのハイアー・オクターブ・ミュージックから出す一方、日本でのハイアー・オクターブ・ミュージックのディストリビューションへも貢献しています。そのハイアー・オクターブ・ミュージックが発掘したアーティストの1人オットマー・リーバートは、「バルセロナ・ナイツ」の大ヒットで一躍世界的なスターとなりながら、結局ハイアー・オクターブ・ミュージックから移籍してしまいました。

 そして、今やフラメンコのスタンダード・ナンバーとなった「バルセロナ・ナイツ」を聴いていて思い出すのが、スペイン料理の数々です。そこで今回は、タパスを中心としたロサンゼルスのスパニッシュ・レストラン3軒をご紹介しましょう(便宜上、料理の写真へ番号を付けてありますが、これらの番号は店と無関係です)。

Tinto
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■Tinto

www.tintotapas.com
7511 Santa Monica Blvd., West Hollywood
323-512-3095

 オープンして5年のタパスの店で、母親がシェフで娘がレセプションを受け持ってます。スタッフも含めて全員スペインの出身です。木曜日の夜は8時から11時までフラメンコ・ギターとヴォーカルのデュオがライブを3ステージ演ります。ギターがバルセロナ出身で、ヴォーカルとセカンド・ギターがマドリッド出身、ギターの演奏はなかなかです。時々「バルセロナ・ナイツ」も演奏しています。

 夕方5時のオープンから、月曜日から水曜日が10時まで、木曜日から土曜日が7時までは「ハッピーアワー」、そして月曜日から木曜日の11時まではサラダとパエリアとサングリアのピッチャーがたった45ドル!・・・・・・ここのパエリアは、ハッピーアワーであろうとなかろうとお薦めです。

 イベリコ豚が何種類かある中でも、この店の売り物は18ケ月物のセラノ・ハムでしょう。あと、ミートボールやスパニッシュ・ハムのコロッケが美味い他、エビなどのタパス定番メニューはハッピーアワー・メニューを含めて一通り揃っています。鰊(にしん)の酢漬けあたりが日本人へは妙に懐かしく、デザートもクレームブリュレやプリンが同じパターンです。また、パエリアはこげついたところを「スカレット(Sucarret)」といい、そこが美味いというのも日本と共通しています。

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#1
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#2
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#3
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#4
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#5

 写真は左から「18ケ月物のセラノ・ハムとマンチゴ・チーズ(#1)」、「ミートボール(#2)」、「スパニッシュ・ハムのコロッケ(#3)」、「パエリア(#4)」、「クレームブリュレ(#5)」、やはりイベリコ豚(18ケ月物のセラノ・ハム)がお薦めですね。

La Paella
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■La Paella

usalapaella.com
476 S. San Vicente Blvd., West Hollywood
323-951-0745

 店の名前は「パエリア」ですが、パエリアそのものなら先の「Pinto」をお薦めします。その代わり、この店のタパス・メニューは充実しています。中でもお薦めなのが鰻の稚魚で、スペインを除く世界中で捕獲を禁止されているため、この店で出しているのもスペインからの直輸入です。

 また、どういうわけかこの店は東洋人の女性客が多く、極端な時など私自身を除いて全員女性という場合もあります。たとえば、隣のテーブルは日本人の年配のおばさん2人連れ、その向こうが訛のある英語を話す東洋人の女性グループ、さらに向こうは中国人の女性たち等々、ウェイターへ聞いてもなぜ東洋人の女性客が多いのかわからないということでした。それだけ、スペイン料理は東洋人の口に合うんでしょう。

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#6
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#7
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#8
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#9
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#10

 写真は左から「エスカルゴ(#6)」、「タコ(#7)」、「スカロップ(#8)」、「鰻の稚魚(#9)」、「エビ(#10)」、鰻の稚魚はスペインから取り寄せた本物と割安のイミテーションがあります(写真は本物)。

Baco Mercat
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■Baco Mercat

bacomercat.com
408 S. Main St., Los Angeles
213-687-8808

 ダウンタウンでも「Gallery District」として再開発され、画廊や劇場が多い小洒落たな地域にあるスパニッシュ・レストランです。オープンしてまだ10ケ月のこの店、フラット・ブレッドのサンドイッチとスープがなかなかいけます。この店の名前は、そのフラット・ブレッドを意味する「Baco」からきており、同じフラット・ブレッドのサンドイッチでも、平たいままトッピングを乗せて焼いたピッツァのようなパターンと、普通のサンドイッチのパターンと、それぞれ違った趣(おもむき)です。

 メニューの中でユニークなのはスパニッシュ・スープのほうで、半熟卵と日本のインスタント・ラーメンが入っています。韓国の若者の間で、日本のインスタント・ラーメンをうどんの代わり鍋へ入れるのが流行っているのは知っていましたが、スペインのスープにまで使われているとは思いもよりませんでした。

 先の2軒がタパス中心で飲みながら食べる店だったのに対し、こちらは食べるのが主体の店といえるでしょう(もちろん、飲みたい方へはフル・バーがあります)。昼は周りのビジネス街を対象としてランチを提供し、そして夜は周りのコンドに住む中流以上の客層を対象として本格的なディナーを提供するといったパターンです。旅行でダウンタウンを訪れた方なら、散歩がてら画廊を見て回る途中でお腹が空いた時、立ち寄るのにちょうどいいかもしれません。

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#11
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#15

 写真は左から「クリスピイ・フラット・ブレッドのオープン・サンドイッチ(#11)」、「スパニッシュ・スープ(#12)」、「ポテト・サラダ(#13)」、「チキン・レバーとフォアグラのムース(#14)」、「バナナ・バタースコッチ・タルト(#15)」、クリスピイ・フラット・ブレッドのオープン・サンドイッチは早い話がスペイン版のピッツァだと思って下さい。

 ロサンゼルスの街には、まだまだいろんなスパニッシュ・レストランがあり、私自身、あまり好みのタイプではありませんが、ラシェネガ通りのSLSホテル(昔の全日空ホテル)内にあるホセ・アンドレスの店「The Bazaar」などもタパスは有名です。

横 井 康 和      


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