テキサス・バーベキュー


 今年最初の「イート・イン・スタイル(レストラン・ガイド)」は、去年最後の「肉を食べるなら・・・・・・ユーロ・スタイル篇」に続いて肉料理ですが、これまでご紹介した様々な肉料理とはちょっと趣向を変えて「テキサス・バーベキュー」のレストラン特集です。もっとも、テキサス・スタイルというだけで、すべてロサンゼルス市内にあります(便宜上、料理の写真へ番号を付けてありますが、これらの番号は店と無関係です)。

Barrel & Ashes
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■Barrel & Ashes

barrelandashes.com
11801 Ventura Blvd., Studio City
818-623-8883

 去年(2014年)の11月7日、スタジオ・シティのベンチュラ通りにオープンしたばかりの「Barrel & Ashes」は、ロサンゼルスのバーベキュー・シーンを揺るがす存在です。かのビル・チャイト・プロダションがオープンしたテキサス色の濃いこのお店は、ティモシー・ホリングスワース(「The French Laundry」)とロリー・ヘルマン(「Bouchon」)といった、かのスーパーシェフ、トーマス・ケリーのブレーンがパートナーとして参加しています。

 バーベキューそのものも然ることながら、この店の特徴は他の料理へも工夫がこらされており、たとえばフリート・パイのセンスは最高です。いわば、日本で老舗のフランス料理店が「かっぱえびせんパイ」を作り、かっぱえびせんのパッケージを切り抜いた器で出すような感覚は独特のものがあります。ジャンク・フードを使いながらジャンクでないフードを提供し、そのプレゼンテーションへ光るセンス。また、チキン・サンドイッチやホー・ケーキなどはありきたりの外観ながら、これがなかなかいけるんです。

 そのあたりのセンスは、やはりホリングスワースやヘルマンが貢献しているのは間違いありません。オープンしてまだ3ケ月経っていないのに連日賑わっているのも、行ってみるとよくわかります。

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 写真は左から「フリート・パイ(#1)」、「ブリスケット(#2)」、「スペアリブのハーフ・ラック(#3)」、「ホー・ケーキ(#4)」、「チキン・サンドイッチ(#5)」。意外なのがチキン・サンドイッチで、ロサンゼルスでもトップ・クラスの味です。

Bludso's Bar-&-Que
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■Bludso's Bar-&-Que

www.barandque.com
609 N. La Brea Ave., Los Angeles
323-931-2583

 続いては一昨年(2013年)の2月18日、ラブレア通りとメルローズ通りを下がったところにオープンした「Bludso's Bar-&-Que」、セントラル・テキサス・スタイルのバーベキューを出しています。ケヴィン・ブラッソがパートナーのジェイソン・バーンスタインとジェイソン・スターを誘ってこの店をオープンするまで、しばらくの間ロサンゼルスのバーベキュー・シーンでは変化がなかったため、レストラン業界ではかなりの話題となりました。

 ブラッソが生まれ育った家庭はセントラル・テキサスで4代続いてバーベキューを作っており、両親が十代の時カリフォルニアへ引っ越し、コンプトンに定住しています。父親はブラッソが若い頃からバーベキューの良さを教え、母親は彼が9歳の時からテキサスのコルシカーナでバーベキュー屋をやっている祖母ウィr−=マエ・フィールズのところへ行かせるようになりました。その結果、ブラッソは若くして祖母からバーベキューの製法を伝授されたのです(祖母もまた、彼女の父親から製法を伝授されています)。ただし、バーベキューを作るのが嫌いだったブラッスは、将来それを職業にだけはしないと自ら誓いながら、いっぽうで着々と腕を上げてゆきます。

 11年間、父親と同じ警察関係の仕事をした後、31歳でその仕事に疲れたブラッソが始めたのはケイタリング(出前)でした。地元コンプトンで名前が知られ始めた2008年、彼はケイタリングの拠点としてバーベキューの店を出します。そして、その成功が今のBludso's Bar-&-Queをオープンするきっかけとなりました。コンプトンからハリウッドへ進出して2年弱、週末などは広い店内が満席の流行り様です。

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 写真は左から「ポーク・リブとプルド・ポーク(#6)」、「ホット・リンク(#7)」、「コールスロー(#8)」、「ポテトサラダ(#9)」、「ジュレップ(#10)」。やはり、バーベキューにはバーボン・ベースのジュレップが合います。

Horse Thief BBQ
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■Horse Thief BBQ

horsethiefbbq.com
324 S Hill St., Los Angeles
213-625-0341

 3軒目はダウンタウンの「Horse Thief BBQ」、テキサス出身のラッセル・マリキシとウェイド・マクエルロイがダウンタウンへオープンした店です。彼らはオースティンのテキサス大学在学中に知り合い、卒業後、別々の道を選んだものの、共通していたのがバーベキューへの情熱でした。2012年、マクエルロイはHorse Thief BBQのアイデアを思いつき、マリキシに電話をかけます。マリキシがマクエルロイのアイデアへ賛同し、準備を始めた2人はシェフのマックス・ヘンリクェスを雇い、開店に漕ぎ着けたのが一昨年(2013年)7月のことです。

 Horse Thief BBQはダウンタウンのケーブルカー「エンジェルズ・フライト」からヒル通りを隔てた向かい側のフードコート内にあり、屋外のテーブルで食べます。メニューがシンプルなのもこの店の特徴で、基本的な5種類のカットはパンとピクルスと玉葱が付いており、あとは昔ながらのサイド4種類とデザート1種類だけです。アルコール類が飲みたければ、フードコート内のバーでは生ビール数種類、ワイン、その他を買える以外、アイスクリーム・ショップもあります。

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 写真は左から「リブ・チップス(#11)」、「ブリスケット(#12)」、「プルド・ポーク(#13)」、「ブルーチーズ・ベーコン・ポテトサラダ(#14)」、「ジカマスロー(#15)」。ジカマスローは、もともとジカマ・キャベツが紫色で、着色してあるわけではありません。

 以上の3店舗は、ここ2年間で立て続けにオープンしたばかりですが、もちろんそれ以前からやっているロサンゼルスのバーベキュー専門店は数多くあります。エコーパークから近い「The Hungry Pig」やサンタモニカ・フリーウェイから近いラブレア通りの「Hiatus Urban Barbeque」、そしてロングビーチの「Bigmista's Barbecue & Sammich Shop」などもお薦めです。また機会があれば、それらの店もご紹介してゆきたいと思います。

横 井 康 和      


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