鍋の季節


 この季節になると、やはり鍋物が恋しくなります。そこで、京都「鳥新」の水だき、大阪「美々卯」のうどんすき、京都「逆鉾」のちゃんこ鍋を選んでみました(便宜上、料理の写真へ番号を付けてありますが、これらの番号は店と無関係です)。

鳥新
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■鳥新

homepage1.nifty.com/torisin
京都市東山区祇園縄手四条上ル
075-541-4857

 水だきは、鶏肉に野菜などを入れて食べる京都の代表的な鍋料理です。鳥新の場合、近郊の鶏肉を丸々1羽から使っており、骨付きモモだけではなく様々な部位が入るのも特徴で、鍋のスープは鳥の骨(鶏がら)から取っておくどさん(かまど)で割り木(薪)をくべて高温で一気に炊き上げるため、濁った色がついていても薄味であっさりとしています。つけ汁のポン酢は冬に和歌山から買い付けた橙(だいだい)を絞った果汁が元となっており、大根おろしへそのポン酢をかけていただきます。

 創業は明治中頃ということですが、その前から鳥新は存在していました。親戚であったらしく、現在地でなく木屋町四条の角あたり、高瀬川にかかる四条小橋のたもとや、河原町四条下ル東側、そして寺町三条や、錦天満宮前の新京極など、時代時代で数軒存在していたようです。450年ほど前の織田信長公入洛の際は、早くも鳥屋(鴨や鶴など野鳥の狩猟や販売)を営んでいたといいます。また、御所への出入りは古くからあったようですが、そこまで古くなると庶民の噂として伝わっている部分もあり、詳しいことはわかりません。

 司馬遼太郎著「竜馬がゆく」の最後の場面で出てくるのは先ほどの四条小橋店らしく、当時、鶏肉販売業(鶏肉の小売店)と鶏料理屋を兼業していたそうです。また、使いの少年「菊屋峰吉」が四半時に30分ほど待たされるのは、鶏を上鳥羽へ取りに行った帰りを待って解体したためらしく、この鳥羽の養鶏場のほうがこの店の直接の先祖であり、販売店兼料理屋という形態は縄手でも戦後まで続きます。鍋以外、すき焼きや焼き鳥や親子丼が売り物です。

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 写真は左から「鶏の水だき(#1)」、「鶏のすき焼き(#2)」、「親子丼(#3)」、「鶏のもも串(#4)」、「鶏雑炊(#5)」。親子丼はランチのみの限定販売です。

美々卯
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■美々卯

www.mimiu.co.jp
大阪市中央区平野町4-6-18
06-6231-5770

 大阪の堺で200年続いた老舗料亭「耳卯楼」を大正14年に先々代平太郎が麺類専門店として美々卯へ改め、1958年3月に株式会社美々卯の設立へ至ります。現在、麺類料理や和食を中心として関西15店舗、関東8店舗、中部1店舗と24店舗を展開しており、材料は産地の契約農家へ赴き、直接眼で見て手に取り厳選するというこだわり様です。

 味の基本となる出汁へのこだわりもまたひと味違って、素材のメジカ(宗田節)に寒メジカと笹メジカを使用し、すべて熟練者が手作業で仕上げ、吟味された良質なものだけを仕入れます。そして、その日必要な量だけを毎日削り、各店舗へ配送した後、各店舗では毎朝3時間かけて灰汁を取り、メジカの旨味とコクを最大限引き出した出汁に、厳選された鰹で風味豊かな香りを追い足して仕上げているそうです。ここでご紹介するうどんすき以外、麺類からお弁当といった和食、あるいは夏の鱧料理からしゃぶしゃぶまで幅広いメニューが売り物でもあります。

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#10

 写真は左から「付きだし(#6)」、「うどんすきの材料(#7)」、「別に出てくる海老(#8)」、「『美々卯』のロゴが入った餅(#9)」、「調理中のうどんすき(#10)」。海老は生きているので、鍋に入れようとしたらかなり抵抗します。

逆鉾
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■逆鉾

www.sakahoko.net
京都市中京区木屋町通蛸薬師下ル下樵木町203-5
075-221-0845

 八代目「逆鉾」である逆鉾與治郎(さかほこよじろう)が、1966年、京都木屋町へこの店を開業しました。以来、京都という土地柄、お客さんには芸舞妓さんや歌舞伎役者も多くいます。與治郎が紹介した井筒部屋直伝の味を受け継ぐ、鶏ガラ醤油スープをベースにした旨みタップリの出汁も味わいは独特です。

 ソップ鍋とアンコ鍋の2種類のちゃんこ鍋があり、ソップ鍋は秘伝の鶏ガラ醤油をベースに、にんにくの風味を効かせた特製肉団子、鶏肉、野菜などの具材が入って、飛び込みでも注文できます。いっぽう、特製肉団子の代わり季節の魚を具材とし、自家製ポン酢でいただくアンコ鍋は、前もって予約が必要です。メニューは基本的にこの2種類で、鍋が煮えるのを待つ間、まずは付きだしの温泉卵が出てきます。鍋の〆は定番の雑炊の他、うどんやもちがあり、もち雑炊といったコンビネーションも好評なようです。

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 写真は左から「付きだしの温泉卵(#11)」、「調理中の女将(#12)」、「準備が出来たら後は待つのみ(#13)」、「〆のもち(#14)」、「あるいは定番の雑炊(#15)」。女将が自ら調理してくれるので、鍋奉行へはちょっと物足りないかもしれません。

 鍋物といえばあまりにも日本人へ馴染む料理であり、それを出すお店も限りなく浮かんできます。とりあえず以上の3軒を選びましたが、京都は丸田町通りの「八起庵」、そして庶民に愛される錦界隈の「富美屋」なども候補としていいところまで残っていました。

横 井 康 和      


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