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アン・モス復帰
先月(2月)からサンフランシスコで撮影が始まったSFアクション・シリーズ「マトリックス」第4弾、これまでネオ役を演じるキアヌ・リーブスは街中で撮影中の姿が報じられてきましたが、トリニティ役のキャリー=アン・モス(写真)も撮影現場で目撃されました。当初、主要キャストで目撃されていたのはリーブスだけでしたが、そこへアン・モスも加わったようです。15〜16日に撮影されたオートバイのシーンでは、特製の台車へ固定されたオートバイをアン・モス演じるトリニティが運転し、ワイヤーロープをつけたリーブス演じるネオは後部シートに座ったり、立ち乗りする姿がツイッターなどのSNSへ投稿されています。着々と撮影が進んでいるようで、その前日の14日にはダウンタウンで空中シーンが撮影され、ビルとビルの合間へワイヤーをかけて男女2人組がワイヤーロープをつけて飛び降りるシーンが撮影された模様です。いっぽう、ネオの宿敵であるエージェント・スミス役の俳優ヒューゴ・ウィーヴィングは出演オファーを受けたものの、スケジュールが合わずに出演を断念しました。前3部作を通して人間型ソフトウェア・エージェントのスミスを演じたウィーヴィングは、「残念なことに、ある作品(英ナショナル劇場での舞台『ビジット』)のオファーを受けた後、『マトリックス』から出演オファーが来たんだ。だから新作のことは知っていたけれど、撮影時期が不明だった。両作品ともできると思ったが・・・・・・」とタイムアウトのインタビューで語っています。ラナ・ウォシャウスキー監督とドラマ「センス8」のアレクサンダー・ヘモン、そしてデヴィッド・ミッチェルの共同執筆した新たなストーリーは、まだいっさい発表されていませんが、全米公開は来年(2021)年5月21日の予定です。
バットマン降板の理由
DCコミックのスーパーヒーローを単独で映画化する「ザ・バットマン」の監督主演を降板したベン・アフレック(写真)が、その理由をニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで語りました。「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生(2016年)」、「スーサイド・スクワッド(2016年)」、「ジャスティス・リーグ(2017年)」の3作でバットマン/ブルース・ウェイン役を演じた後、「ザ・バットマン」で監督主演の予定だったアフレックは、主演へ集中したいからと早々と監督を降板しています。その後、「猿の惑星シリーズ」のマット・リーブス監督が就任して準備は進められたものの、去年(2019年)2月に脚本の大幅な変更があり、若き日のウェインが描かれるようになったため、彼は主演も降板したと報じられていました。しかし今回、(降板の)本当の理由が自身の飲酒問題であったことをアフレックは明かしています。「ジャスティス・リーグ」撮影時につらい経験をしたという彼が、ある人へ「ザ・バットマン」の脚本を見せたところ、「脚本はいいと思う。だけど、いま経験したばかりのことをまた繰り返すなら、きみは死ぬほど飲酒するとも思う」と言われ、降板を決意したそうです。アフレックがアルコール依存の問題と向き合うべくリハビリを開始したのは2001年からで、彼の飲酒問題と不倫騒動が原因で離婚申請中だった2018年、女優の妻ジェニファー・ガーナーに付き添われ、3度目となるリハビリ施設へ入所しています(現在は離婚が成立)。そういった過去の失敗を乗り越える助けとなったのは、アフレックがプロデューサーと主演を兼ね、今月の全米公開を控えた「ザ・ウェイ・バック」だとか。内容は妻の死によってアルコール依存症となったNBAの元スター選手が、母校のバスケットボール・チームのコーチを務めることで再生していく姿を描いています。
ルスの初主演
「ニキータ(1990年)」、「レオン(1994年)」、「LUCY/ルーシー(2014年)」などで知られるリュック・ベッソン監督の最新作「ANNA/アナ」の日本公開が5月8日に決定しました。本作は成功率ゼロ・パーセントの究極のミッションへ挑む主人公アナの活躍を描いており、16歳からシャネル、ディオール、ヴァレンチノなどのハイブランドのモデルを務めたロシア出身のスーパーモデルで、やはりベンソン監督作「ヴァレリアン 千の惑星の救世主(2017年)」で銀幕デビューを果たしたサッシャ・ルス(写真)がアナ役に抜擢され、5分で40人を倒すリアル且つ壮絶なファイティング・シーンを演じています。そのほか、殺し屋としてアナを育てたKGBの上司オルガ役には「クィーン(2007年)」でアカデミー主演女優賞を受賞したヘレン・ミレン、アナを支える同胞アレクセイ役には「ワイルド・スピード ICE BREAK(2017年)」のルーク・エヴァンス、CIA捜査官レナード役には「ダークナイト(2008)」のキリアン・マーフィと、独自の世界を切り開く演技派が勢揃いしたキャスティングです。1990年、ソ連の諜報機関KGBによって造り上げられた最強の殺し屋アナ、美しきファッションモデルやコールガールなど複数の顔を持つ彼女の使命は、国家にとって危険な人物を次々と消し去ることでした。その明晰な頭脳とトップクラスの身体能力を駆使して、アナは国家間の争いを左右する一流の暗殺者へと進化を遂げます。そんな中、アメリカのCIAの巧妙な罠にはめられ、捜査官レナードから成功確率ゼロ・パーセントの究極の取引を迫られ・・・・・・最大の危機を前にしたアナが、さらなる覚醒を果たし、世界の命運を握る二大組織KBGとCIAの脅威へと化してゆくのです
フォードの新作
ウォルト・ディズニー・スタジオの実写映画「野性の呼び声」は、アメリカで公開と同時にトップ10の2位となり、日本でも1週間遅れて2月28日から全国公開中です。これまで本作を含めて8度も映画化されてきた原作の魅力を、監督のクリス・サンダースと主演のハリソン・フォード(写真)が語りました。アメリカを代表する作家ジャック・ロンドンの小説を映画化した本作は、たった一人で孤独な旅を続ける男ソーントン(フォード)と、数奇な運命で犬ぞりの先導犬となった名犬バックとの出会いと絆を描いた感動の物語です。原作が初出版された1903年以降全世界で翻訳され、アメリカで今なお教科書でも掲載されているほどの認知度と人気を誇っています。サンダース監督いわく、「この物語の中には、『自分もまた同じようなことを経験しているのだ』と観る側へ感じさせる真実があります。これは自分の中に存在することを知らなかった『強さ』を発見する物語です。ファンタジーでなく、サバイバルと忍耐を描いた気骨ある物語で、子どもであれ大人であれ、誰にでもこれと似た経験があるものなのです」と、年齢は関係なく突き刺さるメッセージがあると分析しています。主人公のソーントンを演じたフォードも、高校生のときこの物語を読み、心を動かされた一人。彼は、「ソーントンが1人で旅を続けているのは、彼と彼の息子がずっと冒険を夢見ていたからなんだ。しかし、その息子が亡くなってしまい、妻との関係も難しくなっている。そんな彼と犬のバックとの出会いは、息子とやり遂げたいと思っていた冒険を実行するきっかけとなるのさ。ソーントンのテーマは『贖(つぐな)い』であり、自分の本当の感情へ再び触れることになるのだけれど、それはバックとの関係を通して起こるんだよ」と、生まれ変わった名作の魅力を述べました。
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(2020年3月)
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