ボーンマローを食べるなら・・・


 ロサンゼルスでは出している店が数多くありながら、帰国するとなかなか食べられないメニューの一つがボーンマロー、骨髄の料理です。たとえばロサンゼルスの場合、この「イート・イン・スタイル(レストラン・ガイド)」でこれまでご紹介しただけでも、「Barnyard」、「Fathere's Office」、「Chi Spacca」でボーンマローは登場している他、「Animal」、「Angelini Osteria」、「Pizzeria Mozza」もボーンマローが有名な店です。今回は、そのボーンマローへ焦点を当て、それら6レストランを除いたあと3店をご紹介したいと思います(便宜上、料理の写真へ番号を付けてありますが、これらの番号は店と無関係です)。

Scratch
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■Scratch

www.scratchbarla.com
16101 Ventura Blvd., Suite 255, Encino
818-646-6085

 まず最初の「Scratch」は、シェフのフィリップとマルガリータ・リー夫妻(マルガリータはパストリー・シェフ)がロサンゼルスのエンシノへオープンした店で、彼らは自分達の考える新しいレストラン・コンセプトが、どうすれば形になるかというところから始めました。この店のコンセプトは、あくまでもこの店特有のものですが、他の新しいコンセプトを追及するレストラン(たとえばフィリップ自ら係わる寿司バー)とも連携しています。

 そもそもScratchは、食べ物をあるべき形で一から準備するという原則に基づき、店の空間も客がシェフとの対話を通じ、個々の好みに合わせて特別カスタマイズされた体験を楽しめるよう設計したそうです。レストランの中は、「一から」の哲学を維持する結果、熟成したチーズからパンのバターまでシェフ達の手作りでないものは何もありません。エンシノでもベンチュラ通りと面したモールの2階という場所柄が、そんな店のスタイルとマッチし、連日の賑わいです。

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#1
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#2
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#3
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#4
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#5

 写真は左から「ボーンマロー。ベースになっているのはトーストで、そこへボーンマロー、そして玉ネギを載せてから卵の黄身のソースがかかっています(#1)」、「キュウリウオとボーンマロー(#2)」、「ウニ・オイル・ディップ。主人公は右端のニジマスと左奥のアーティチョークのグリルですが、それらを浸けて食べるためのウニ・オイルのほうが光っています(#3)」、「牡蠣(#4)」、「ムール貝とウニのセビチェと酒レモネード(#5)」。#5は、この店の人気メニュー。

Bestia
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■Bestia

bestiala.com
2121 E. 7th Pl., Los Angeles
213-514-5724

 続いてはダウンタウンのイタリアン・レストラン「Bestia」、イタリア語で「野獣」を意味するこの店が目指したコンセプトは、生のままの工業用スペースへ装飾的で現代的な要素を加味した新しい空間・・・・・・つまり、近くの倉庫街をアーティスト達がアトリエに生まれ変わらせた発想と似ています。しばしば現代のインテリアを何世紀もの古い構造へ統合する、洗練された現代イタリア・スタイルのアプローチといえるでしょう。

 Bestiaの生みの親であるオリ・メナシェとジュネヴィエヴ・ゲルギスはともにロサンゼルスで生まれ、ゲルギスが南カリフォルニアで留まっていたいっぽう、メナシェは彼の家族とイスラエルへ移住し、そこで成長期を過ごしています。その後、家族と世界中を旅しながら南アフリカでシェフになろうと目覚めるのです。その頃、ゲルギスがパストリー・シェフとなり、2001年シェフとなるべく南アフリカからロサンゼルスへ戻ったメナシェは間もなく彼女と仕事場で出会います。こうして夫婦となったメナシェとゲルギスがBestiaをオープンしたのは2012年、偶然とはいえScratchと同じ(良人がシェフで妻がパストリー・シェフの)パターンです。それからはロサンゼルス・タイムズ紙などのメディアから続々と取り上げられてきました。

 2013年、その年の新しいレストラン・トップ10へBestiaが選ばれ、翌2014年にはメナシェがベスト新人シェフへ、そして彼は2015年の「フード&ワイン」トップ新人シェフ10人に輝きます。そんな2人の姿がキッチンで見当たらない時、メナシェとゲルギスは娘のサフロンとプライベートな時間を過ごしていることは間違いありません。

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#6
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#7
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#8
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#9
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#10

 写真は左から「ボーンマロー(#6)」、「リブアイ・ステーキ(#7)」、「蛸(#8)」、「生うにクロスティーノ(#9)」、「鴨のカッペレッティ(#10)」。

Kinjiro
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■Kinjiro

www.kinjiro-la.com
424 E. 2nd St., Los Angeles
213-229-8200

 ダウンタウンはリトル東京の「鮨元」の左隣へオープンして3年ちょっとの「金次郎」、シェフの近藤良和は日本の後、フランス、イタリア、スペインで修行し、いったん日本に戻ってからロサンゼルスへ来ました。その足跡がメニューに反映されています。

 名前の由来は、金次郎のホームページから引用すると、「昔々、二宮(にのみや)金次郎という少年が薪を背負いながら本を読んで歩き学問を身に着けた話は有名ですが、後々彼は、農政改革を起こし、日本全国に食と幸を与えたとされています。我々飲屋(のみや)金次郎は、二宮金次郎の精神を受け継ぎ、『飲と食』を通し、お客様お一人お一人に、幸せをもたらすことを目指します」ということです。

 そんな金次郎の数々のメニューの中でも、地元ロサンゼルスの客層へ評判なのがボーンマロー田楽、こればっかりはここでしか食べられません。いくらロサンゼルスでボーンマローを出すレストランが腐るほどあっても、味噌を使っているのはここだけです。また、アメリカで神戸牛を食べられる店が多くても、金次郎のような宮崎牛を出す店は、まだまだ限られています。

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#11
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#12
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#13
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#14
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#15

 写真は左から「ボーンマロー(#11)」、「宮崎牛(#12)」、「エイのヒレ(#13)」、「イカ墨うどん(#14)」、「酒粕のクレムブリュレ(#15)」。

 その他、ロサンゼルスでボーンマローが美味しい店といえば、マンハッタン海岸の「Love & Salt」、ダウンタウンのフレンチ「Church & State」、ウルフギャング・パックの「Cut Beverly Hills」、カルバーシティの「Hanjip Korean BBQ」など、まだまだあります。次回、ロサンゼルスへお越しの際は、ぜひボーンマロー料理を堪能して下さい。ちなみに、日本でも東京の「レストラン・オカダ」や京都の「ブション」といったフレンチ・レストランでボーンマローを出している時もありますが、ステーキやポトフへ骨髄を添えてあったり、あくまでも脇役です。したがって、いつもあるとは限りません。日本だとラーメン等の「ガラ」として使われることが多いようです。

横 井 康 和      


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